グローバルで勝ち残るため、日本のものづくり現場では生産性向上を極限まで高める改善活動が行われている。その活動の1つとして「品質・省エネ・安全・環境」に必要な高効率な機器を選定すると同時に、既存設備の効果的なリニューアルなどが挙げられる。
リーマンショック以降、各企業は予算削減や人員削減を強いられ、内作の増加や人手不足、さらに設備投資抑制に伴う設備の老朽化など多くの問題に直面している。こうした厳しい状況下、既存設備を効率的に有効活用することが求められている。
既存設備の再生案として、ある制御機器メーカーでは、(1)新機能搭載機器への置き換え(リプレース)(2)装置の見える化(3)工場全体の見える化の3つをキーワードに掲げ、「リファイン・サービス」を展開している。
同サービスは、既存設備の機器を単にリプレースするだけでなく、既存設備にプラスアルファの付加価値を提供するサービスで、既存設備・装置の延命だけではなく、工場全体の性能アップや、ムダの排除による品質の強化を目指している。
新機能搭載の新しい機器への置き換えでは、古い機種から最新の機種へリプレースするには互換性が必要となってくる。簡単にリプレースする重要なファクターが互換性で、従来機種と互換性を保っている機種であれば、リプレースにかかる手間や工数を最小限に抑え、顧客の不安を取り除くことができる。
装置の見える化においては、性能の高い制御機器へリプレースすることで装置1台当たりの生産性が格段に向上し、タクトタイムの向上・短縮に繋がる。その半面、高度な制御機器を扱うにはプログラムが難解だったり、コントローラの情報を簡単に見ることができない、設定変更を容易ではないといった課題が出てくる。
ある表示機器メーカーでは、こうした課題を解決するために、すべての人が快適に作業できるソリューションを提案している。PLC制御はそのままに、表示器を各制御機器メーカーの制御機器とケーブル1本で接続することで、アラーム内容に加え、制御機器の状態表示からプログラムの変更まで実現可能にしている。
また、表示器から設定値変更を行うことも可能なので、装置によってはPLCの高機能ユニットを削減することができ、コストダウンも可能である。さらに、納品立ち上げ時のメカ調整やティーチングなど立ち上げ時間が短縮できるほか、運用時の段取り替えが効率化できる。
加えて、現場のエラー内容が簡単に把握でき、メンテナンス時の復旧作業が効率化できる。
一方、工場全体の見える化では、現場で異常や問題が発生した場合、現場での早期復旧のほか、さらなる改善として現場管理者へのスピーディーな情報共有と、現場への的確な指示を可能としたIT化が必要になってくる。
一例を挙げると、パソコンで工場全体の稼働状況を監視できる設備管理パッケージなどがそうである。パソコンから一元監視することで、今どこの装置で何が起こっているか、エラー発生時の履歴把握、さらに、作業者の操作履歴も取得でき、操作ミスや入力ミスなどを防ぐことができる。
制御機器メーカーでは、制御機器メーカーならではのソリューションを展開しており、現場の課題を手間をかけることなく、簡便に解決できるシステムの開発・普及に積極的に取り組む姿勢が増えている。