電気設備の社会的重要性が高まる中で、万一の損害補償に備え、配電制御システム業界ではPL法に対する関心が高まっている。業界特有の補償内容を網羅する日本配電制御システム工業会(JSIA、盛田豊一会長)の団体PL保険に加入するメーカーは今後より一層増えそうである。
高度情報社会のもとで受・配電盤、制御盤など配電制御システムの役割は大きくなる一方である。そのため、事故が発生し易い環境下での稼働が増えており、万一、対人対物事故が発生した場合、損害補償費用も企業の限度を超えるケースが予想される。
また、耐用年数の異なる多数の部品・機器を内蔵していることから、経年劣化による故障も想定される。
配電制御システム各社にとっては企業存続にまで発展しかねないため、損害補償をカバーするPL保険(製造物保険)の利用が増える傾向にあるが、まだ保険加入率は30%程度と推測されている。
JSIAでは、業界特有の条件もあることから「配電盤類の安全に関するガイドライン」を制定し、製品安全の確保に当たって、企業が遵守すべき基本事項を明確にし徹底を呼びかけている。
さらに、企業防衛に役立てるよう業界の条件を勘案した団体PL保険への加入を促進している。
JSIAの団体PL保険は、製造販売した配電盤等の欠陥、あるいは据え付け・試運転・検収・修理・メンテナンスなどの作業ミスが起因した事故に対し、法律上の賠償責任を負担することにより被る経済的損失を補償する制度であり、通常業務上のほとんどのリスクをカバーできる。
例えば、総合賠償責任保険では、引渡し後の配電盤等の欠陥による事故、据え付け作業中の事故、メンテナンス作業中の事故、引渡し前の試運転中の事故、工場等施設の欠陥や管理不備による事故、配電盤の損害に起因する使用不能損害などに対する補償のほか、製造機械に組み込まれた制御システム等の欠陥により不良品を製造したことに対する賠償責任をカバー、支給部品保管中の事故などのオプションも用意されている。
団体PL保険の有利さを網羅している。
PL保険にまだ入っていない従業員10人の配電制御システム会社の経営者は、「保険に加入することを検討している。工業会の団体PL保険に魅力を感じているので、工業会に加盟したいと思っている」と団体PL保険加入に前向きである。