配電制御システム各社は受注が回復傾向にあるものの、価格競争が激しさを増しており、その対策へ組立製造のコストダウンの取り組みを強化している。銅など原材料の値上がり要因もあり、粗利益率の向上は大きな課題である。そのため、業界あげての適正価格受注の促進にも期待を寄せている。
受配電盤は建設動向に左右される。公共投資の減額、建築確認認可の遅れの後、リーマンショックで市場は縮小均衡の状態が続いていた。ここにきて、ようやく受注増加の傾向にあり、年度末需要も手伝って前年を上回り始めている。もっとも、受注額は相変わらず厳しく、「物件にもよるが、20~30%の開きが出る場合もある」というほど相見積もりで価格競争がより一層激しくなっている。
配電盤などの受注増加が期待できるデータセンターもひところより価格の引き下げ要請が強まっている。
制御システムも受注が戻りつつあるが、2008年に比べ80%の水準である。世界同時不況と製造業の海外シフトの影響で、前年度は40%ほどの大きな落ち込みに見舞われている。昨年半ばから持ち直しつつあるが、経営環境は依然厳しい。
こうした中で、受・配電盤、制御システム各社はコストダウンの取り組みを強めている。とくに、組み立ての効率化を最優先にあげ、その中で配線効率化に工夫を凝らしている。
ある会社では「板金塗装を外注している間に、機器取り付けと配線作業を行い、筐体が届いた時にすぐ組み立てられるように改善した結果、効率が上がった」という。
別の会社では原材料の値上げに対して「配線ダクトを極力少なくし、電線を直線で機器につなぐことで電線の使用量を削減」するなど部材の減量化を図っている。
こうしたコスト低減努力にもかかわらず、業務経費の増加要因も出てきている。
化学物質管理規制の強化により、使用材料などのデータを求められるが、そのデータを収集する経費負担が今後増えると警戒する。
化学物質管理規制に伴う経費負担もあり、コストダウン対策に拍車がかかる。
一方で、適正価格での受注促進もますます重要との見方が強まっている。
「建設コストが下がっており、その幾分かが配電制御システムの値下げ要請になる。加えて、銅などが値上がりしている。各社が適正価格での受注意識をもっと持ってほしい」としている。