2025年に約100兆円に達するといわれる世界の水ビジネス市場へ、国を挙げて取り組み始めた。わが国の循環型水資源管理技術をアジア、中東地域に積極的に売り込むため産学官による団体を設立し海外モデル事業を展開する。水処理システムの制御・監視装置を製造する配電制御システム業界にとって、水関連市場は願ってもないビジネス拡大の好機である。
水ビジネスの国内市場は飽和状態であるが、海外市場への進出で活路を見いだす。
産業競争力懇談会によると、2025年の世界の水ビジネス市場規模は、素材供給関連が約1兆円、エンジニアリング・調達・建設などが約10兆円、事業運営・管理業務までを含めると約100兆円が見込まれる。
国際展開を図るには、プラットホーム作りを進めることが肝要であるとして、水関連企業、公的組織、大学などの研究機関が連携した海外水循環システム協議会を設立した。同協議会は、国内外で水資源からの水供給・再利用までの水循環システムモデル事業の検証に入っている。
国内では渇水状況のコンビナート地域で、高効率省水システムのモデルプラントの実証事業を実施、海外においては総合的な省水型の水循環システムを実証する。このシステムは、海水などを水源とする造水技術、廃水・下水を再生する技術を活用する。
伊藤忠マシンテクノスと前澤工業がタイで多機能型膜システムを用いた高度浄水処理の水循環事業、JFEエンジニアリングと百村総合研究所がオーストラリアで分散型水資源供給システム事業、日立製作所とパシフィックコンサルタンツが中国で省エネ型配水管理事業など、それぞれ現地実証を始める。
また、昨年設立の海外水循環ソリューション技術研究組合は、NEDOの委託業務としてウォータープラザ、中東向け小規模分散型水循環事業に取り組んでおり、来年から事業化を推進する。
ウォータープラザは、東レと日立プラントテクノロジーの海水淡水化、工場排水と下水の再利用による施設。北九州市と山口県周南市で実証。中東における下水再生システムは、日立プラントテクノロジーがUAEラスアルハイマ首長国で行う。