オムロンはこのほど、業界最高の光効率により従来比4倍という高輝度照射技術を開発した。この技術を搭載した画像処理検査用の照明機器を製品化し3月から発売を開始、画像処理専用照明事業に本格的に参入する。
画像処理用照明の主流であるLED照明は、多くの電力をLEDに投入することで高輝度を保っていたが、同時に発熱量が増加しLEDの劣化を招くという課題があった。また、LEDから横方向に漏れる光は検査に使用できず、光の利用効率を下げる要因となっていた。同社はこれまで、高解像度カメラなどの撮像機器や、人の目と同じようにフルカラーで画像を処理できるリアルカラーセンシング処理を搭載した視覚センサを開発、増加する画像処理検査への高速化・高精度化・安定化の要求に応えてきた。
今回、こうした画像処理センサ技術を基に、サイズは従来と同じで、放熱性・光効率の高い表面実装型チップに、独自の光学技術「ODR構造」を加えることで光を無駄なく照射することに成功した。従来の砲弾型LED照明の約4倍の10万ルクス(日中の太陽光と同じレベルの明るさ)という高輝度を実現した。
同光学技術を画像処理検査用の照明機器に採用し、画像処理専用照明(FLシリーズ)シリーズとして発売、画像処理専用照明事業に本格的に参入することになった。
業界最高の光効率を実現したことで、電子部品や食品などの高速ラインでも、シャッタスピードを落とすことなく鮮明な画像を撮像でき、検査安定性を向上することができる。
また、輝度確保のために大型照明を使用する必要がなく、装置の小型化にも貢献する。
安定した画像撮像には、輝度だけでなく照射光の均一性も重要な要素である。FLシリーズは従来の照明に比べ、均一な光を照射するエリアを約1・5倍に拡大。視野内の対象物をムラなく照射するほか、照明と対象物までの距離であるワークディスタンスも従来比約2倍の距離を実現。離れた位置に、照明を取り付けることが可能となった。
さらに、業界最小の照明コントローラ(体積比は従来品の約6分の1)を同時に開発。手のひらサイズで制御盤やラインの隙間に組み込める上、25メートルの業界最長の照明ケーブルを使用すれば、画像処理モニタと一緒に様々な場所に配置し、画面をみながら輝度を調整することも可能となっている。
同社では今後、画像処理に最適な照明シリーズを続々と開発・発売する計画で、画像処理照明事業の拡大充実を図る方針である。