最近は、タッチパネルやプログラマブル表示器などの使用が増え、操作スイッチ市場の減少が懸念されているが、照光式スイッチも含めて、簡単で分かりやすく、コストも低く抑えられるという操作用スイッチのメリットはまだ大きく、特に機器の微少電流化、基板化などへの流れは、むしろスイッチ単体として実装するほうがスペース的にもメリットが大きいという評価に繋がっている。これに省エネ化の推進という流れも加わりつつある。
照光式スイッチの光源には、白熱球、LED、ネオン球のほか、最近はLCDや有機ELなども使われてきているが、いまのところLEDが主流となっている。
LEDは白熱球並みの高輝度実現で、本来の特徴である長寿命、低消費電力、低発熱、省メンテナンスといった特徴と合わせて急速に置き換えが進んでおり、特に昨今の省エネなど環境意識の向上が、この動きに拍車をかけている。
光源のLED化は、スイッチの薄型化にも大きな影響を与えている。白熱球光源に比べ小型であることで実装スペースを大幅に削減でき、照光式スイッチの薄型化を飛躍的に進めた。
現在スイッチ各社は、こうした薄型の照光式スイッチをラインアップに加えている。
ベゼルの高さが2ミリ前後の薄型・フラット構造は、パネル全体がシャープで引き締まったデザインになり、凸凹の少ない操作パネル面は食品機械や半導体製造装置で求められるゴミや埃の付着を防ぎ、パネル面の突起に当たることで生じる誤動作などを防ぐ利点がある。
デザインだけでなく、スイッチ装着の安全対策も研究されており、確実な保持と誤作業を防止する構造を採用してアピールしているメーカーもある。さらに、LED素子の実装方法を工夫することで、小さなスペースでも照光式スイッチとして使えるようにトグルスイッチやパドルスイッチなどで、操作部分全体を光らすようにLEDを実装した製品も発売されている。
店舗などの商品陳列棚で見かけるフックとスイッチを組み合わせ、フック先端にLEDを実装することで、商品の品切れをLEDの点灯で知らせるアイデアスイッチも普及しつつある。小型で低消費電力のLEDは、照光式スイッチの新たな用途を開拓した代表的な例と言える。
もうひとつ変わった照光式スイッチとして注目されているのが、1つの表示面で2種類の表示に変換できる押しボタンスイッチである。従来は色の異なるLEDを搭載することで2色発光をしていたが、これは表示プレートに加工を施すことで、同じLEDを発光させながらも赤と緑を切り替えた表示が可能になる。
LED光源が主流の中で、今後の動向が注目されているのが有機ELである。有機ELを光源として採用して、表示部に画像やメッセージなどを表示させ、しかも1つの表示面で何種類にも切り替えて表示できる。有機ELの持つきめ細かな表示は、テレビのような表示画面を実現できる。通信機能を搭載することで、画面の変更なども容易に行えるなど新たな発想は、今後のスイッチ市場を占う上で大いに注目される。
今後、照明機器への展開などによって生産量が拡大すれば、コスト面でも優位性を発揮できることに繋がりそうだ。表示素子にLCDを採用して、メッセージやキャラクターなどを表示できるスイッチもある。
照光式スイッチの持つ特徴を活かした市場開拓余地はまだまだあり、特に光源の種類の多様化と高輝度化、多色化などでこの可能性はさらに高まる。同時に、機器の小型・薄型化が進む中で、最適な操作性、視認性確保に向けた取り組みも注目される。