東北地方太平洋沖地震は経済活動にも大きな影を落とす。東北6県の製造品出荷は全国の5・5%(18兆3739億円・2008年)を占める。品目の全国比は情報通信機械器具が14・8%、電子部品・デバイス・電子回路が13・0%、食料品が7・9%、非鉄金属が7・8%、飲料・たばこが7・7%などとなっている。本紙推定で、開閉制御装置は15%に達している。2010年度の制御機器市場は、全国の約6%の約170億円を占める。また、全国の物流遅滞による影響も加味すると、地震による制御機器業界の損失は膨れ上がる。そこで、東北産業の実態を調べてみた。
東北6県の製造業は、1万8476事業所。製造品出荷額は18兆3739億円。業種別では電子部品・デバイス・電子回路、情報通信機械器具、食料品、輸送用機械器具、化学工業の5業種で約5割を占め、特に、電子部品・デバイス・電子回路、情報通信機械器具、食料品は全国比率を上回る。
東北6県の電子部品・デバイス・電子回路の出荷額は2兆6538億円。青森県が1283億円、岩手県3597億円、宮城県4916億円、秋田県5321億円、山形県4301億円、福島県7120億円。
情報通信機械器具は2兆1364億円。青森県231億円、岩手県965億円、宮城県2003億円、秋田県426億円、山形県8181億円、福島県9558億円。
食料品は1兆9610億円。青森県3064億円、岩手県3596億円、宮城県6138億円、秋田県1011億円、山形県1963億円、福島県2837億円。
化学工業は9682億円。青森県386億円、岩手県637億円、宮城県1008億円、秋田県1062億円、山形県1518億円、福島県5072億円。
生産用機械器具は8901億円。青森県397億円、岩手県2008億円、宮城県1299億円、秋田県916億円、山形県2488億円、福島県1793億円。
青森県は非鉄金属、岩手県は輸送用機械器具、宮城県は食料品、秋田県は電子部品・デバイス・電子回路、福島県と山形県は情報通信機械器具が主要な産業である。福島県は製造業事業所が東北で1位、全国でも20位前後の工業県。東北地方の工業団地では値下げで企業誘致を促進していることもあり、トヨタ自動車など自動車産業が進出を図っているほか、半導体関連、ICT関連の誘致にも積極的に乗り出している。
現在、こうした製造業の活動が停止または不安定な状態にある。生産設備の点検、ラインの点検が終了し再び生産に踏み切る製造業もあるが、道路などインフラ整備、燃料の確保に時間がかかり、モノ造りに支障をきたしている。制御機器需要の縮小は避けられなくなった。