日立製作所は、環境対応自動車用IGBTモジュールの生産能力を2倍に増強する。約10億円を投資し、子会社である日立原町電子工業の原町第2工場(福島県南相馬市)に製造ラインを増設し、生産能力を現在の月産1万個体制から、11年10月を目処に2万個へ引き上げる。
また、新たに増設する製造ラインでは、最先端の自動化ラインの導入により、リードタイムの短縮や生産効率向上を図る。
環境意識の高まりや環境規制の強化などを背景に、環境対応自動車、ルームエアコンや冷蔵庫などの家電製品、鉄道車両、建設機械、風力・太陽光発電等の産業分野におけるパワー半導体の需要が、今後大きく伸長することが予想されている。
特に環境対応自動車は、グローバル市場において、2020年まで年率約30%の高い成長が見込まれている。
同社は現在、ダイオード、高耐圧IC、IGBTモジュールなどを主軸としたパワー半導体事業を展開しており、高耐圧ICでは、高耐圧デバイス技術とモータードライブ技術とを融合し、90年にエアコンファンモーター駆動用に世界初となるワンチップインバーターICを開発した。また、IGBTでは、93年に世界初となる鉄道車両インバーター用のモジュールを製品化し、それ以来培ってきた技術を基に、高出力密度、長寿命化技術を強みとした製品を環境対応自動車、分散型発電設備用途等で市場投入している。
設備投資では、04年9月にも約20億円を投資し、日立事業所臨海工場(茨城県日立市)内にあるパワー半導体のウエハー製造工場を3000平方メートル増設している。