時間が経つにつれ被害が膨らむ一方の東北地方太平洋沖地震。その復旧・復興作業が始まった。すでに、電力・通信用ケーブルや変圧器などの入手が困難になっている。開閉制御装置は生活・生産インフラ関連産業であるため、需要の立ち上がりは早い。各社は機器調達も含め応需体制の強化が求められる。東北地方太平洋沖地震による半全壊した家屋は3万棟を超え、2次災害を加えた民間企業の設備被害額は10~20兆円に達すると予測されている。
東北自動車道の一般車通行規制が解除されたほか、途切れた一般道路の交通網も順次、通行可能になった。今後は、道路・電気・ガス・上下水道の本格復旧、公共施設、家屋の修理・建設、工場の生産再開が始まる。配電制御システムは受電・配電・分電の設備であり、復旧・復興需要が一気に高まる。配電制御システムの全国生産の約15%を占める東北地方だけに、復旧・復興需要も大きい。
阪神淡路地震では、復興建設費が総額で約8・1兆円(住宅3兆1143億円、非住宅2兆8908億円、土木2兆5000億円)と当時の建設省では試算している。生産誘導額は全国で、復興建設費の1・97倍、15兆9400億円に上っている。特に、兵庫県を始めとする近畿地方で約80%、12兆8200億円である。
復興建設で生産増加が誘発される業種は、機械、建設が飛び抜けて、次いでサービス、鉄鋼金属、窯業、運輸、商業、化学などで、東北では水産加工、電子・通信機器業種が生産誘発効果を見込まれる。東北の公共事業費は、2010年度で1兆4191億円の予算が計上されている。
今回の地震による復興建設費が阪神淡路地震の10倍、81兆円と推定すると、東北・北関東地区に約65兆円が投入されることになる。今後、受・配電盤、分電盤、監視制御装置の需要を大幅に押し上げることは間違いない。復興期は阪神淡路で3年、今回は5年以上の長期にわたりそう。