タクティルスイッチはプリント基板に直付けし、シートキーボードスイッチやパネルスイッチなどと組み合わせて使用することが多く、特に携帯電話の多機能化に伴う需要が急増している。低背化、インチピッチを採用した端子が特徴で、丸洗い可能な密閉構造や照光タイプなどもあり、約0・5ミリのショートストロークながら確実な操作感が得られる。今後は、LED採用の照光式タクティルスイッチの需要が増えるだろう。
DIPスイッチやデジタルスイッチは、パソコンやOA・情報・通信機器などで多く使われ、操作頻度があまり多くない用途で採用される。ハーフピッチサイズでSMTに対応したタイプが徐々に浸透して、主流になりつつある。DIPスイッチは、一般的に一度設定するとあまり操作しないことから、接触信頼性の確保が求められる。メーカーでは、こうした課題を解決するために「ナイフエッジ構造」などの独自の接触方式を開発し、フラックスなどの浸入による接触不良の解消を図るとともに、プリント基板などへの実装後の洗浄もシールテープなしで可能にしている。
シーソースイッチは、電源のON・OFFなどに良く使われる最も一般的なスイッチ。比較的大電流の入り・切りを行うため、操作時の突入電流による接点やハウジング対策が重要となっている。機器の小型化が進む中で、シーソースイッチの小型化も年々進んでいる。同時に屋外や環境の悪いところでの使用に対応して、防塵・防水対策を施した製品も増えている。
シートスイッチやパネルスイッチは、パネルデザインの自由度が高く、耐環境性も良いため、悪環境下の生産現場から携帯用の民生機器まで幅広い市場を形成している。耐環境性の面では、トグルスイッチもIP67相当の保護構造まで製品化されている。また、操作レバーを全面照光式にした製品も登場、ON・OFFが暗い場所でも操作レバーの位置で確認できる。多方向スイッチは、1本のレバーで多くの開閉が可能で、細かな操作を行う用途に最適だ。
最近発売されたトグルスイッチやスライドスイッチは、スナップアクション方式を採用し、クイックな動作で出力の安定を図り、接触信頼性を高めると同時に長寿命化を実現している。
カムスイッチは、多くの回路とノッチが得られるため、複雑な開閉などに対応できる。用途によって操作開閉頻度に大きな差があるため、接触信頼性の確保が最優先で求められている。機器のエレクトロニクス化の進展から、微小電流領域での操作性も重要になっている。
防浸・防水性能が高いフットスイッチは医療分野、食品分野で採用が増えている。安全性に配慮した3ポジションタイプ、安全ロックレバーを搭載したタイプ、ペダルの高さを低くしたタイプなどの新製品が相次いでいる。
スイッチメーカー各社は、個別のユーザーニーズを取り込んだ特注品への対応も強めている。価格競争を避け、一定の数量を確保できるほか、スイッチ技術の蓄積にも繋がる。
今後のポイントは新用途・新市場の開拓で、前述の太陽光や風力発電など新エネルギー関連や電気自動車関連、LED照明関連、さらに燃料電池分野などが挙げられている。照光式では、光源などの多様化でさらなる用途開拓の可能性もある。人と機械・装置などのインタフェイスとして、操作用スイッチの市場はさらに拡大しそうだ。