2.適応事例「ICハンドラ」の紹介
「ICハンドラ」は、組立完了した半導体を設定された測定環境下で自動的にテストシステム(LSIテスタ)に供給し、テスト結果に基づいて良品、不良品の自動判別を行い収納する「搬送装置」である。半導体の高機能化・高集積化にともないパッケージが小形化、狭ピッチ化、多ピン化が加速している中、いかにテストコストを下げるかが課題となっている。そのためICハンドラにはより高速・高精度な位置決め動作、高い稼働率、稼働状況の管理などが要求されるようになっている。当社がラインアップするコントローラ商品でより高速・高精度の装置の実現に貢献している。【図2】
(1)装置の高速・高機能化
ICパッケージの小型化、狭ピッチ化、多ピン化に対応するためには、より高速・高精度にモータを動作させる必要がある。当社コントローラとオープンネットワークのMECHATROLINK‐IIIとの組み合わせで、目標位置・速度を直接高速に指定でき、高分解能なリニアモータやDDモータを高速に動作させることが可能になる。さらに搬送だけでなくテストヘッドへのコンタクト時の押付トルクの制御も可能になり、ICのテスト品質を向上させる等の高機能化に対応できる。
(2)装置の製造コスト低減と信頼性向上
ICハンドラには約30軸ものモータが使用されており、配線の多さや装置コントローラの大型化が問題になっていた。
今回発表したFA‐M3Vと、高速省配線YHLSの組み合わせで高速処理・高速伝送が可能になり、従来、複数台のPLC構成や複数長距離配線していたことから、装置の小型化および装置の生産性の向上に貢献できた。また、YHLSの採用で耐ノイズ性も向上している。
(3)装置の情報化による製品品質向上
FA‐M3Vは、シーケンスCPUにネットワーク(Ethernet)を標準装備している。ネットワーク処理は、シーケンス処理に影響がなく、かつ安定した通信(速度のブレが発生しない)を提供することで、フィールドのトレーサビリティデータの精度を上げることも可能である。製品の出荷後の生産データを保持することで、製品の品質向上に貢献できる。
また、ネットワーク化に伴い装置の稼働状況をリアルタイムで把握できる。遠隔からの保守も可能になり、装置のアラーム情報も確認できダウンタイムが削減できる。
さらに、装置の動作状態を常時監視することにより、予防保全も可能になる。
当社は「世界一の設備・装置」を目指す「日本のものづくり」に貢献するための制御機器をこれからも提供していく。
注)記載の商品名、会社名などの固有名詞は、各社の商標または、登録商標です。
(筆者=横河電機株式会社)