□前号あらすじ:東京オリンピック後の不況をチャンスと捉えた和泉三雄氏は、サラリーマン生活に終止符を打ち独立する。まだどこにもなかったタイマーのカレンダータイプを開発し、スナオ電気を1967年に設立。省エネブームで業績が順調に伸びる。やがてデジタル化時代が訪れ、大手メーカーが相次いで市場に進出する。
―デフレ時代で業界再編が到来。
和泉社長
バブルが崩壊し長期不況に入ったが、当社は本業専念を貫いてきたのが良かった。デフレ経済が進行するなかで、大手メーカーは製品の統廃合を行い、メカニカル式タイマーメーカーも撤退している。当社は、10年以上使い続けるお客様のことを考え、廃番せずに改良だけを行ってきた。その結果、製品構成で業界トップになった。現在、標準品だけで、年間プログラムタイマー、カレンダータイマー、24時間タイムスイッチがあるがデジタル式とアナログ式を合わせると30種類以上になる。これに特注品を始め、100℃で連続使用できるゼンマイタイマー、自販機用コンセント付きタイマーなど特殊タイマーが加わる。
―海外市場でも注目を集めています。
和泉社長
75年頃から東南アジア、中近東などに他社ブランドで輸出しているが、好調である。省エネ効果が認められ生産機械や装置のみならず、街路灯など社会インフラにも使用されている。間接輸出を含めると、相当数が海外で使用されているが、クレームは全くない。
―施設園芸市場は今後、省力化、省エネ化が進みます。
和泉社長
当社が施設園芸市場に進出したのは早かった。69年にタイマー技術応用の施設園芸用4段プログラムサーモを開発した。71年には炭酸ガス発生装置も市場に出した。お客様の省エネ要求に応えていくうちに温室ボイラー、バーナー、温度管理用プログラムサーモ、温水ポンプ、天窓コントローラ、農業用灌水システム自動制御盤、オートレインタイムスイッチなどを製造販売するまでになった。当社の製品だけで施設園芸に必要な加熱、温度管理、散水制御まで対応できる。地元を中心に営業しているが、販売先は広がりつつある。
―施設園芸用ボイラーで賞を戴いた。
和泉社長
省エネ回転フレーム式農業施設向けボイラーは、熱効率90%以上の高効率化に成功した。静岡県のビジネスコンテストでメロン栽培など施設園芸の燃料費負担の大幅軽減、CO2削減に貢献できることが認められ優秀賞を受賞した。施設園芸では、1年間の燃料費が400万~500万円かかる。当社の製品は、燃料費を30%カットでき農家の省エネに貢献している。導入コスト、メンテナンスコストも安い。燃料に灯油を使い完全燃焼させるので、既存のボイラーに使われているA重油と比べ大気汚染を防げることも評価された。
―施設園芸は有望市場になっています。
和泉社長
タイマー・タイムスイッチは全国の商社を通して販売しているので、当社の知名度は全国に広がっている。しかし、施設園芸機器・システムの知名度は静岡県を始め中部地方に限定されているが、売り上げは全体の約2割に達している。今後は、全国展開も視野に入れて取り組んでいく。オイル価格が高騰しているので、省エネは全国の農家にとって大きな問題であり、当社としてもその要請に応えていきたい。(続く)*続編は5月25日付掲載予定