関西地区のFA・流通市場は、一部の入手困難な製品に関しては、仕入先メーカーから限定入荷の通達を受けるなど、未だ一部で混乱している状態が続いている。
特に、東日本大震災以降、関西地区は電線・ケーブル類の在庫がほとんどない状態で、商社でもお手上げ状態となっている。被災地に電設資材などを優先的に供給していることが背景となっているが、電線・ケーブルに関しては、民生用のケーブルについても大手のDIYストアに行っても在庫がない状態となっている。また、UL規格品など特殊仕様のものは特に入手困難な状況にある。
各メーカーは震災直後、製品の原料・材料である樹脂や接点の部材がなくなったが、今は入荷のメドが立ち、ほぼ回復傾向にある。
東北地方には、今回の地震で被害に遭った電子部品や半導体、素材関連の工場が多く立地していることから、制御機器や装置などの生産への影響が心配されている。仕入先のメーカーからは「生産が止まっている製品もあり、こうした製品は緊急の場合を除き、1カ月に1回くらいのペースでしか出荷できない」と通達されている商社もあり、一部で取り扱い製品の入手困難状態が続いている。
こうしたことから、顧客から発注を受けても、製品によってはいつ出荷できるか分からないケースもある。
被災地区の復興・復旧の進捗状況にもよるが、今後数カ月は、このような状況が続くと予想する商社が多い。
加えて、東京電力福島第一原子力発電所の放射線漏れ事故による風評被害の問題もある。
取り扱い製品が海外に輸出されるケースが多い商社では、得意先から「海外に輸出する物件だが、放射線の汚染は大丈夫か」と質問されるほか、「放射線に関して安全」という書類を添付させられる事態も見られる。
今後は、震災復興需要と電力の供給不安に伴う省エネ関連需要に期待する声が強まっている。特にLED照明は各方面から引き合いが増えている。また、発電機やUPS(無停電電源装置)などの需要も増加している。
むしろ心配なのは、震災による自粛ムードの広がりが一般消費に与える影響で、供給が正常に戻ることによって通常の生活パターンが復活することが最大の景気復興策とも言えそうだ。