FA・制御機器流通市場は、リーマンショックの後遺症も癒え再び上昇基調に転じようとしていたが、3月11日発生の東日本大震災で先行きが再び不透明になろうとしている。しかし、リーマンショックの経済危機が全世界同時に起きた状況に比べると、今回の危機は日本だけの問題と捉えることもでき、しかも原因がはっきりしているだけに、対応策も比較的立てやすいといえる。当面は善後策への取り組みから停滞感は避けられないものの、東北地区ではすでに復興に向けた需要が動き始めている。欧米やアジアなどの海外メーカーも日本市場開拓への関心を強めており、日本メーカーも国内市場の販売に再び商社を活用する動きを活発化させるなど、商社の存在価値がクローズアップされている。今回の震災が流通市場にも大きな影響を与えることは確実で、営業スタイルにも変化が起きそうだ。
リーマンショックから2年が経過し、2011年3月期決算は各商社とも売り上げをピークに戻す通過点と捉えていたところが多い。実態は3月期決算の商社はほぼ計画通りで終えているところがほとんどで、前期決算には大きな影響を与えていない。リーマンショック前の80%~90%ぐらいまで売り上げが戻り、今期はピーク超えを計画していたところが多い。震災前は円高も高止まりではあるがほぼ落ちつき、顧客の海外シフトは続いているものの、国内でも自動車、半導体関連市場などが元に戻りつつあるなど、一定の見通しが感じられ、FA流通にも活気が感じられていた。それだけに今回の震災は、このムードに冷や水を浴びせたとも言えるが、同時にサプライチェーンを担う商社の存在を改めて見直す機会にもなりつつある。
震災によってジャストインタイムで生産を行っている自動車の生産がストップした。部品メーカーと自動車メーカーが必要な部品を必要な量だけ供給するこの方式は、災害時に弱みとなる。特にASICなど特注部品は、セカンドソースの供給先がないだけにもろに影響が出る。
FA・制御機器は自動車に比べると流通商社経由の販売比率が高いこともあり、影響の度合いは比較的低い。以前に比べて少なくなったとは言え、商社が一定の在庫を有し供給ストップの事態を抑えている。メーカーの中には、不足気味の製品について商社の流通在庫を回収して、再配分を行っているところもある。しかも最近の制御機器は、半導体など電子部品の内蔵が多いことから、半導体、コンデンサなどの生産停止の影響を受けており、今後これがどのように推移するかが注目されている。
一方、震災の影響を直接受けなかった海外のFA・制御機器メーカーは、日本市場及び海外市場で日本メーカーからの切り替えでシェアを拡大するチャンスと捉えている。スペック、品質、規格などで日本のユーザーからの採用がなかなか行ってもらえなかったところは、代替品として採用を検討してもらえるとして、積極的な売り込みをかけている。商社も供給責任と売り上げ拡大に繋がることから、取り組み意欲を見せている。
また、今回の震災によって、日本全体としてますます省エネの重要性と必要性を感じた。海外生産シフトで国内産業の空洞化対応としても需要拡大が期待されている環境や新エネルギー、電気自動車(EV)関連需要などはさらに加速しそうだ。これと並行して震災復興需要が加われば、今年下期以降は上期のマイナスを一気に取り戻し、産業界全体が回復軌道に乗りそうだ。それに備えるためにも、今は地道な情報収集活動と最適なソリューション提案ができる教育への取り組みが求められる。