ドイツ・フエニックス・コンタクト情報化投資を背景に大きく飛躍マーケティング、R&D担当役員ローランド・ベント氏に聞く

産業用端子台やコネクタ、各種インタフェイス機器、サージ保護機器などの大手メーカー、ドイツ・フエニックス・コンタクト社は、2008年の経済危機後の停滞からいち早く脱し、10年12月期の売り上げが前年度比4億ユーロ増の13億3600万ユーロと驚異的な回復を見せた。

同社のエグゼクティブ・バイスプレジデントでマーケティング&ディベロップメント・メンバーズ・オブ・ザ・ボードのローランド・ベント氏に同社の技術戦略、市場戦略などを聞いた。ベント氏は「イーサネットベースのバス化で、工場とマネジメントの一元化が図られ、自動車産業などでエネルギー管理などの大規模投資が進んだことが、売り上げ増に大きく貢献している」「日本は重要な市場であり、日本の市場ニーズに応えながら一歩ずつ浸透を図っていきたい」などと語った。

―高成長が続いていますが、その要因は。

「オートメーションのネットワーク化が著しく進んでいることが大きい。インターネットなど、情報技術の発展が工場の制御システムを変革させている。特にイーサネットベースのバス化によって、自動車産業では、大規模なショップマネジメントやエネルギー管理に向けた大規模な投資が行われ、恩恵を受けている。当社の伝統的な端子台事業から接続という切り口で、風力エナジーや電気自動車のインフラ関連、避雷器などへのビジネスを展開している」

―日本市場に向けた技術戦略は。

「日本市場はドイツと似ており、重要市場であることから時間をかけながら投資を行っていく。技術的にはカスタム対応を基本に、コネクション技術を駆使しながら一歩一歩浸透していく。I/Oモジュールの『アクシオライン』や、プッシュ式の『PIT端子台』なども日本の顧客ニーズを聞いて開発したもので、好評を得ている」

―日本市場の開拓は難しいですか。

「日本は品質レベル、工作機械の仕様、フィールドバスなどで、欧州などと要求が違うので難しいと思うことはある。しかしPIT端子台のように日本を先生にしながら取り組んでいく」

―今後どの領域の商品を考えていますか。

「ハノーバーメッセでも一部展示しているが、FAコントローラ、HMI、セフティ関連、パワーサプライ、モーションなどセンサーとコントローラの間をつなぐ領域を広げていく。センサーやアクチュエータ、コンバータといった当社の顧客と競合するものは作らない」

―研究開発投資の額はどのくらいですか。

「毎年、売り上げの6~7%の8000万~1億ユーロを投資している」

―今後の売り上げ計画を聞かせてください。

「今後5~10年で売り上げを現在の2倍の25億ユーロを目指していきたい。今後コンポーネントからシステムへシフトしながら、ソリューションビジネスを強化していく。同時にサービス、メンテナンスも強くしていきたい。すでに北米では100人を超すエンジニアを配置しており、その場で対応できるようにしている。日本でもエンジニアを増員していく予定で、販売するだけでなく、常にお客さんの近くで技術的サポートができる体制を作っていきたい」

―ドイツの優良企業に今年選ばれましたが、その理由は。

「経営者と社員との信頼関係の良さ、社員が会社のすべてを理解しているコミュニケーション関係の良さ、社員が仕事への満足感を感じていることなどが評価の基準となっている。企業規模によって分かれるが、当社規模の会社ではドイツで一番の評価で、全体でも3番目となっている」

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