横河電機は、組み込みコントローラe―RT3用に「組み込みデータベース対応CPUモジュール」=写真=の販売を開始した。価格はオープンで、予想市場価格は20万円から。今年度海外を含め1000台、2012年度2000台の販売を計画。
新モジュールはリアルタイムOS対応コントローラとして業界で初めて、組み込みデータベースソフトウェア「Linter(リンター)」に対応しており、製造工程を管理するセルコントローラとしても使えるようになった。
半導体製造工場や電子部品・電子機器組立工場で利用される産業用コンピュータは、階層ごとに分かれており、生産管理用のデータサーバと製造装置用コントローラの中間に、製造工程管理用コントローラ(セルコントローラ)がある。現在は汎用のPC(コンピュータ)が多く使用されているが、PCはアプリケーションソフトウェアが豊富な一方、コンピュータウイルスに対する備えが欠かせない。
一方、製造装置を制御する組み込みコントローラやボードコンピュータは、ウイルス感染の危険性はほとんどないものの、セルコントローラとして使用するにはデータを整理して保存するデータベース機能が不足していた。同社では、データベース機能を搭載したCPUモジュールを新開発し、e―RT3を、組み込みコントローラとしてもセルコントローラとしても使用でき、しかもセキュリティ対策を不要にした。
新CPUモジュールがLinterに対応したことで、電源が落ちたときのファイルシステム破壊防止機能や、同時に複数の処理をしてもリアルタイム性を確保できる。また、Linterとリアルタイム動作を追求したe―RT3との組み合わせで、堅牢で信頼性の高いデータベースを構築することができる。
さらに、製造装置用コントローラとしても、Linterに対応したことで、上位システムとの間で通信エラーが発生しても、正常復帰後、未送信データを高速検索して上位システムに送信するため、データの欠落が起こらない。
e―RT3は、半導体製造装置などの各種装置の制御を行う組み込みコントローラで、組み込みコントローラに使用される代表的なリアルタイムOSであるVxWorks、NORTi(iTRON)、WindowsCE、OS―9、Linuxなどに対応している。2004年11月の発売以来、バージョンをアップし「e―RT3
2・0」は、小型な筐体に高速プロセッサ(PowerPC
533MHz)と豊富な外部インターフェースの搭載で、装置の小型化、高性能化、及び高速化を実現。