ソフトバンクの孫正義社長は福島原発事故を受け、東日本大震災の被災地に「東日本ソーラベルト」構想を提唱したが、好感をもった人が多いのではなかろうか。同時に、新しい発想の安全な街づくりも並行して進めたい。世界の見本となる新社会を被災地のカンバスに描くことを期待している。
スマートコミュニティの実証実験が始まったばかりである。街は、架線レスの蓄電池搭載の路面電車が走り、急速充電ステーションや家庭の電気で充電した電気自動車が快適に走行している。家は太陽光発電で使用電気の大半を賄い、電線も地中化されている。リサイクルセンターを整備した工業団地、自然エネルギー発電所、電力貯蔵庫も周囲にある。
市場もある。海に通じる幾筋もの運河を利用した漁船が街中の市場を活気つける。津波が押し寄せる心配もない。地域はIT技術を使いエネルギーや交通をコントロールする。自治体のサービスを受けるためいちいち役所まで出かける必要がない。環境未来都市である。
経済産業省は、スマートコミュニティ事業で2020年に3兆2000億円の経済効果と6万2000人の雇用効果があると試算している。世界に売り込むことも視野に入れているというが、まずはスマートコミュニティを大震災の被害地域で再興の柱と位置付け実現して欲しい。電気設備の技術革新も急進展する。