□前号までのあらすじ:東京オリンピック後の不況をチャンスと捉え独立した和泉三雄氏は、まだどこにもなかったタイマーのカレンダータイプを開発し、スナオ電気を1967年に設立。省エネブームで業績を伸ばす。デフレ突入で大手メーカーが製品統廃合を進める中、同社は製品構成でトップに立つ。施設園芸機器市場でも独自展開で注目される。大震災後、節電・省エネ時代を迎える……。
―今年、再び国民の間に省エネの意識が高まる。
和泉社長
創業以来、73年の第1次、79年の第2次、まだ記憶に残る08年の第3次と3回のオイルショックを経験しているが、そのつど省エネが促進された。そして、東日本大震災の津波による福島原発問題で節電が国家的な政策になり、省エネが喫緊の課題として取り上げられている。当社は省エネ機器メーカーとして、タイマー・タイムスイッチの供給に責任をもって、製造販売に対応していく。生産を途切れさせず、全国の販売店の皆様の協力を得ながら、復旧復興に省エネの面からお役に立ちたい。
―省エネ一筋の45年間を振り返って。
和泉社長
省エネ分野で事業を始めたことと、自社ブランドで展開したことが、45年間続けることができた大きな要因と思う。大手企業の下請けでなく、独立したメーカーとしての信念を社名にした。「SURPASSING(優秀な製品を作る)
NATIONALITY(日本国民性を発揮)
ORIGINALITY(独創性ある独自の商品開発)」の頭文字をとってスナオ電気と命名した。設立時は苦労したが、省エネ、省力以外には目も向けずに経営し、バブル景気のときも余分なことに手を出さなかった。今では、当社のカレンダータイマーが週間タイマーの代名詞といわれるようになったが、お客様、販売取扱店様、協力会社様、社員あってのもので、大いに感謝している。
―今後50周年に向けての事業方針をお聞かせ下さい。
和泉社長
当社は、創業以来「ファブレス」体制を貫いている。製品企画、開発、試作、販売に経営資源を集中し、製造は協力会社にお願いしているが、この方針は今後も変えない。また、タイマー・タイムスイッチは産業用のニッチ市場に特化し、家電向けなどの大量生産品とは一線を画していく。
市場は今後も成長が期待できる。オイルの高騰基調は今後変わらないので、製造業を始め産業界では省エネ対策がますます重要になってくる。また、計画停電をキッカケに節電対策が一気に進む。省エネのタイマー・タイムスイッチには追い風となるので、新製品の開発を強化する。45年間かけて信頼関係を築いてきた全国100社以上の販売店様の協力を得て省エネ需要に応じていく。そのため、宣伝、営業にもより一層取り組んでいきたい。また、放射能放出により農業に風評被害が出ている。汚染対策として施設園芸、農業の工場化が進展すると思う。当社は温室栽培やビニールハウス用に、熱効率90%以上のスナオ温室ボイラー、自動変温装置プログラムサーモ、天窓コントローラ、農業用灌水システムなどを製造販売しているが、施設園芸用機器にも注力する。タイマー・タイムスイッチ販売店様にも新商材として取り扱っていただき、顧客層を農業分野にまで広げられることを願っている。
―地域社会貢献事業も行っておりますが。
和泉社長
45周年を機会に、地域社会への貢献事業として、農家の野菜、果実、花などの作物を「しずおか美人」の登録商標で販売する会社「スナオハーベスト」を今年4月に設立した。ぜひ、軌道に乗せて地元農業の振興に協力したい。