会員が意気に感じる、粋な計らいである。日本配電制御システム工業会は9日、定時総会を青森市で開催する。大震災による2次3次被害も大きい。東北、関東の広域にわたって、放射能汚染の不安から観光客が激減している。東京はじめ各地で夏の勢いを感じさせる祭りの中止が相次いでいる。▼
同工業会の東北、東京両支部には被災した会員会社もいる。大震災後で本来なら逡巡する気持ちが起きても不思議ではないが、被災地を、会員を励ましたいとの思いが青森開催を実行させた。「がんばれ東北」を具体的な行動で示したわけだが、総会会場で盛田豊一会長が義援金を日本赤十字社と被災した会員会社に手渡す。▼
先日、仙台に住む友人と会った。彼は、電気技術士の資格を持っており、土日返上で発電機や電気設備の点検に走り回っている。60歳半ばを過ぎた身体は相当に疲れが溜まっているようだが、復旧に携わる「気」が勝っているのだろう、いたって陽気に振る舞っていた。復旧が完了するまで続ける覚悟である。▼
電気給配電設備業界は、被災地向けを最優先に取り組み、設備の部材・機器メーカーも供給を絶やさないよう過去にない緊張が続いている。人は窮地の環境で3年間は心棒を支えられるといわれるが、企業も同じである。被災地の製造業の一刻も早い立ち直りに、FA業界との購買交流を期待したい。売るだけでなく、買うことも被災地の復興に貢献できるのだから。