マイコン、コンデンサー、コネクター搭載の駆動・制御機器の生産が急ピッチで回復している。メーカーは機種の集約化、設計変更、代替部品の採用などを進め生産量を震災前の水準に戻しつつある。東日本大震災で部品調達ができないうえ、在庫部品も払底の危機的状況からは抜け出したとする見方が強まってきた。顧客に対しては型式の切り替えも同時に勧めており、市場での混乱は徐々に収まる方向にある。
大震災では駆動・制御機器にとって心臓部である半導体、マイコンの一部メーカーが被災し生産停止になった。また、コンデンサー、基板洗浄液、コネクターも同様な状況に陥った。
被災部品メーカー製を採用している駆動・制御機器メーカー各社は部品メーカーの生産確認作業に追われる一方、在庫部品量を見計らい生産品の見直し、設計変更、代替部品の開発、顧客対応策などに取り組み、当座をしのいできた。しかし、部品メーカーが生産再開しても自動車向けなどが優先され、産業機器向けは部品調達できるまでに数カ月以上を要することから、5月末には部品在庫が払底する恐れもあり対策に苦慮してきたが、この危機的状況から抜け出しつつある。
三菱電機は、各機種での部品の調達や代替開発が進み、ACサーボ、ギヤードモータなど一部機種を除き今月以降、生産量が震災前の水準以上に回復する見込みである。
ACサーボも7月からは震災前の水準以上に回復。5月から回復のギヤードモータの中で遅れていた0・4~7・5kWのブレーキ付き機種も7月から震災前の水準以上の数量を生産する見通しにあり、大幅な受注増加に対処できる可能性が強まっている。また、シーケンサ、表示器、インバータ、ACサーボについて、より安定的な型式の生産に重点を置く計画であり、顧客に型式の切り替えを勧めている。
オムロンは、大震災直後に部品部材の在庫を増やしたものの、先行きを考慮して受注量に対応できる状況をつくりだすため、部品開発や機種の集約化、代替製品の提供などの対策を講じている。
また、電力・水道・ガスなどインフラ向けの優先、従来通り生産可能な機種の推奨などを行っている。部材調達に影響のある機種については型式切り替え依頼、一部生産中止を顧客に通知している。部品入手難など大震災の影響を受けた他社も同様な対策で乗り切る方向にある。
駆動・制御機器の受注は3月以降、4月、5月と月を追う毎に増加しているため、当初見込みより前倒しで生産回復を目指している。