日本電機工業会(JEMA、北澤通宏会長)は、「第90回通常総会」をANAインターコンチネンタルホテル東京で5月31日開催し、2010年度(平成22年度)事業報告及び決算報告、11年度(平成23年度)事業計画及び収支予算などを審議し、承認した。今年4月から一般社団法人としてスタートして初めての総会には、会員170社から委任状も含め147社が出席した。
11年度の主な事業計画では、重電事業で低炭素化社会の構築やインフラシステム輸出推進に向けた政府との連携、モータや変圧器の省エネ化推進に取り組む。また、原子力事業では、東日本大震災で「エネルギー基本計画」などの政策見直しが想定されることから、この動向を見極め適切な事業展開を進める。同時に新エネルギー事業やスマートグリッドなどの動きとも絡めながら取り組みを強める。
総会冒頭のあいさつで北澤会長は、「今年4月から一般社団法人に移行し、新たな気持ちで日本経済の発展に貢献したい。企業の業績も順調に回復してきていた中で、残念ながら東日本大震災や原発事故で状況が一変している。国を挙げて復興に取り組むとともに、JEMAとして協力をしていきたい」と述べた。
また、北澤会長の任期満了に伴い、新会長に三菱電機下村節宏会長が、副会長にパナソニックの大坪文雄社長が就任した。
下村新会長は会長交代の記者会見で「電機業界は、輸出に支えられた生産の持ち直しがみられ、企業収益も改善し、自立回復に向けて着実に前進してきたが、今回の東日本大震災により、かつて経験したことのない厳しい現実に直面している。自動車のサプライチェーンがこの震災で問題になっているが、製品・部品の性能と競争力、効率を高めるためには、BCP(事業継続計画)を構築し、例えばウエハプロセスを日本とシンガポールといったどちらでも作れるような体制構築も行っていく必要がある」と語った。
なお総会後、恒例の11年度(平成23年度)電機工業永年功績者表彰式が行われ、14人に北澤会長から表彰状と記念品が手渡された。表彰者は次の通り。
武田一平(ニチコン会長)、佐野尚見(パナソニック顧問)、森屋雅夫(大阪ヒューズ社長)、伊藤晴夫(富士電機相談役)、築山明雄(パナソニック電工名誉役員)、金氏顕(三菱重工業特別顧問)、米澤敏夫(東芝常任顧問)、中山克志(富士電機特別顧問)、能仲久嗣(東芝常任顧問)、長野晄史(日立産機システム社長)、武藤昌三(シンフォニアテクノロジー社長)、鬼頭正雄(安川電機専務)、杉山博司(明電舎副社長)、永井紀安(同・同)。