三菱電機は、鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)に約30億円を投資して、人工衛星生産棟を増築する。2013年3月末の竣工予定で、年間の生産能力を倍増の8機へと拡大する。
今回の生産能力増強で、国の宇宙基本計画の実行に伴う人工衛星調達増大と海外での商用通信衛星の需要に対応し、20年度には宇宙関連事業の売上高1500億円を目指す。増築建て坪は2052平方メートル、延べ床面積は7700平方メートル。
同社は99年に鎌倉製作所内に人工衛星生産棟を建設し、国内最大級のスペースチャンバや音響試験設備、通信試験設備を備えた衛星一貫生産体制を、日本の衛星メーカーとして初めて整備した。現在まで18機の人工衛星と宇宙ステーション補給機HTV「こうのとり」の電気モジュールを開発・製造している。
今年3月には自社の標準衛星バス「DS2000」の信頼性などが評価され、トルコTurksat社から通信衛星Turksat4A号機・4B号機を受注し、また5月にはシンガポールSingTel社と台湾中華電信社向けに製造した商用通信衛星「ST―2」の打上げと軌道投入に成功している。さらに、通信需要の急激な増大などにより、世界の商用通信衛星市場は今後も平均年間20機と堅調な需要が見込まれることから、同社では人工衛星事業を成長戦略事業の1つとして位置づけ取り組みを強めている。