オムロンは、東日本大震災の影響で公表を延期していた、2012年3月期の通期業績予想を発表した。売上高は6550億円で前期比6・0%増、営業利益は550億円で同14・5%増、税引前利益は535億円で同28・3%増、純利益は340億円の同26・9%増で、2期連続の増収増益を予想している。特に最終純利益は26・9%増と大幅な増加を予想している。
増収増益の理由は、大震災の影響で一部の業界が上半期に需要の減少が想定されるものの、海外での旺盛な設備投資需要、さらに国内の復興・復旧需要などにより、IAB、EMCなど主力の制御機器事業が好調に推移するものと予想しているため。また、海外では中国・アジアエリアで売上高2桁増の成長を予想している。
IAB関係は、国内需要の伸びがプラスするほか、震災の影響で供給ができない状況にある他社の販売ルートに調達が可能としている。EMCは国内で一部立ち直りが遅れているが、海外は2桁の成長を見込んでいる。SSBは震災の影響でマイナスになるが、HCBは海外の売り上げが2桁に近い増加となる。
自動車関連は、自動車メーカーの立ち上がりが早く、生産計画が徐々に前倒しになっており、同社も自動車関連に向けた事業の方向性が見えてきたと指摘している。
なお、震災の影響では売上高、営業利益とも70億円をマイナス要因として入れている。
第2四半期の予想は、売上高同3・8%増、営業利益同0・2%増と、ともに横ばいだが、4月、5月の売り上げ実績はすでに前年比を上回っており、特に夏以降は復興・復旧需要が大きく貢献すると予想し、下期は大きく上向くと予測している。
また、同社は震災直後から「部品調達プロジェクト」を立ち上げ、部品の代替や製品の設計変更、流通在庫の洗い出しなどを行ってきたが、供給が不透明だった部品調達先の復旧は予想以上に進んでおり、現時点で生産用の部品については、グループ内や部品調達先で在庫を確保、ほぼ通常通りの操業を行っている。
しかし、電力需要など一部で不確定な要素も残っていると指摘している。
通期の連結セグメント別売上高予想は、IABが国内1365億円(前期比10・1%増)/海外1710億円(同15・6%増)計3075億円(同13・1%増)、EMCが国内220億円(同11・7%減)/海外635億円(同12・8%増)計855億円(同5・3%増)、AECは国内265億円(同6・7%減)/海外555億円(0・7%減)計820億円(同2・7%減)としている。また、SSBは600億円(同6・0%減)、HCB615億円(同1・4%増)、その他535億円(同7・7%増)としている。
為替の予想平均レートは、1USドルが82円(前年同期実績85・8円)、1ユーロ116円(同113・5円)としている。