電設大手の河村電器産業(愛知県瀬戸市暁町3―86、TEL0561―86―8111、河村幸俊社長)は、従来できなかった接触部の過熱現象を解明、発熱を防止する新しい端子構造を開発した。
ねじの緩みや締め忘れにより圧着端子、電源座間で発生する発熱から火災を引き起こすケースがあったが、新技術により未然に防止できる。技術の応用範囲は、広がりそう。
配線用遮断器などの結線にはねじ止めが普及しているが、振動によるねじの緩み、ブレーカ交換などによるねじの締め付け忘れで接触部が過熱するのを防ぐため、定期的にねじ締めを行っている。
この定期的なねじ締めをしなくても発熱しないのが新端子構造である。
同社では、圧着端子と電源座間の接触状態が変化することによりアーク放電が発生し過熱の原因になっていることを解明、圧着端子と電源座間の異常電圧を検知する技術を確立した。また、正常時の電気の流れは、圧着端子と電源座が完全に接触しているので接触電圧は0Vであるが、異常時の電流は圧着端子からねじを経て電源座に伝わるため接触電圧が発生する。この接触電圧を、検知する技術も開発した。
異常電位現象の新検知技術から、新端子構造の開発につなげた。
新端子構造は、電源座を2分割しコーティングした絶縁ナットで一体化したのが特徴。正常時は圧着端子から電源座へ電流が流れ、ねじの緩みで圧着端子と電源座が離れると通電できなくなる。ねじを電流が通らないため、異常発熱が発生しない。
同社では、新端子構造を採用した接触部過熱検知機能付きブレーカを開発した。過熱検知機能付きは世界で初めてという。
同社は、これまでも差し込みプラグから突然発火するトラッキング火災を未然に防止する「プレトラックコンセント」を発売しており、電気火災の防止に注力している。