1.はじめに
福島第一原発事故後間もなく、アメリカから原発用ロボットが複数投入された。原発は安全だと言い聞かされてきたのと同様に、多くの日本人は「日本はロボット大国のはずなのに、何故アメリカのロボットが」との疑問を抱いたと思う。
インターネット通信や車載用のナビゲーションシステム(GPS)等は、そもそもアメリカで軍事技術として開発されたもので、多くの先端技術は軍事目的として当初開発されてきている。写真1.及び2は、福島原発に投入されたロボットである。
現状を見れば、日本が40年ほど前にアメリカから導入したロボット技術を産業化し、この分野で現在、世界で過半数の市場を獲得していることは事実であるが、これは当時の技術に基づいたものであり、製造用を目的としたロボットが大半である。
一方で、多種多様な市場要求事項の変更と増加等により、サービスロボットが世界的に研究開発され、一部が実用化され始めている。ロボット大国として、サービスロボットでも世界に発信を強めている日本であるが、時代の要求を満たし新たな市場形成できるための前提条件がそろっているかを検証してみたい。