持ち運びに便利なハンディタイプのPDも、ロボット操作向けなどを中心に普及している。ロボットの動作ティーチングなど危険が伴う作業では、離れて扱えるハンディタイプが重宝がられている。ハンディタイプは、PDを搭載していない装置・機械向けばかりではなく、生産ラインなどの補助操作盤としても使われている。ハンディタイプのPDを使うと、作業者が補助操作盤を持ち歩けるため1つで済みコストダウンにつながる。
表示素子、表示方法も高機能化している。5インチクラスの小型機種でも6万5536色の色鮮やかな表示が可能で、高精細データや写真・動画などをより鮮明で見やすい画面表示として実現している。また、ビデオ画像表示もできることから、監視カメラなどによるラインの状況を映すことも可能である。
最近では、作画ソフトをバージョンアップし、ユーザーインターフェイスの向上を図るとともに、作画時間の短縮を実現する検索機能やデータコンバート機能を充実させたタイプが伸長している。
PDはFA分野のほか、非製造分野での用途も増えている。限られたスペースで多様な情報や設備・装置の操作を不特定多数の人が行う場合、PDを採用すると非常に分かりやすいという特徴から、ビル監視、車両監視、券売機、駐車場、公共設備、アミューズメント設備・機器などで採用が増えている。
さらに、PD内蔵のコントローラを活用し、温度・湿度管理や散水の管理・制御などを中心に、農業分野でのアプリケーションも拡大を見せている。
PDのアプリケーションも、従来の工場・ビルなどのFA関連から、鉄道などのインフラ関連、外食産業などの非FA分野など、社会のあらゆる分野で伸長してHMI機器として重要性を増している。
一方、表示灯は鉄道車両への採用が拡大している。特にLEDを採用した表示灯は、視認性が高く、省エネ、長寿命という各種の優れた特徴があることから、新幹線を筆頭に新型車両の運転台周りや車側灯、尾灯、標識灯などあらゆる個所に採用されており、今後、輸出も含め拡大が見込まれている。そのほか社会インフラ関連では、上下水処理場、再生可能エネルギー関連でも期待されている。
こうした中で、今後スマートフォンやタブレット型パソコンなどの普及が進む中で、PDの機能もこれらの機器と融合化した機能・アプリケーションがニーズとして求められる可能性もあり、大きく形態を変化させることが考えられる。
同時に、FA制御の分野では、ここ数年PDメーカーと各制御機器メーカーとのコラボレーションが加速している。特に画像認識分野や画像処理分野で動きが活発だが、PLCやセンサ、ステッピングモータ、モーションコントローラ、インバータ、ACサーボモータなどのメーカーとのコラボで、PDのソリューションがさらに広まることが期待される。