国内の機械安全規格がIEC規格整合へ前進。労働安全衛生規則を改正、工作機械以外の機械に対してもストローク端による危険を防止する措置を義務付けた。同時に、制御機能付き光線式安全装置(PSID式安全装置)、プレスブレーキ用レーザ式安全装置を、新たな安全装置として追加するなど関連規格を改正。いずれも7月施行。国内機械安全市場は約200億円と推定され、欧州や北米に比べ普及が遅れていたが、今後市場の拡大に弾みがつくと見られる。
厚生労働省は、IEC規格との整合化を図るため、関連する労働安全衛生規則を改正した。改正内容は(1)機械のストローク端による危険防止(2)プレスブレーキ用の新たな安全装置への対応(3)手払い式安全装置の原則使用禁止などである。
機械のストローク端については、これまでも工作機械についてその危険を防止するための覆いなどを設けることが規定されていたが、移動するテーブルを有するタレットパンチプレスのテーブルと建物設備などの間に挟まれ作業者が死亡する災害が発生していることから、今回の改正で工作機械以外の機械に対してもストローク端による危険を防止することを義務付けた。
そのため、従来の金属工作機械だけでなく、NCルータなどテーブルが移動する木材加工、樹脂加工用機械など適用範囲が広がった。
また、改正動力プレス機械構造規格は、ポジティブクラッチプレスを原則製造禁止にし、液圧プレスでのスライドの落下防止措置を充実させている。安全プレスにおいても、両手操作式安全プレスのスライド等の操作部は左右の操作の時間差が0・5秒以内を要件化。光線式安全プレスは改正前の防護高さを最大400ミリから危険を防止するための必要な長さに変更、さらに光軸間隔を70ミリから20ミリへ、安全距離に400ミリ以上を追加した。このほかの改正内容は、サーボモータを使用したプレスのブレーキ性能・故障対策等を規定、新たにPSID式安全装置の追加、非常用停止装置の操作部として押しボタンスイッチ以外のコード式やレバー式も認める、両手操作式安全プレスのスライド等の操作部を直線距離で300ミリ以上離す以外の方法も認めるなど。
プレス機械またはシャーの安全装置構造規格改正は、手払い式安全装置を原則製造禁止し、一定のものに限り当分の間は製造を許容、安全装置として新たにプレスブレーキ用レーザ式安全装置を追加などとなっている。現在、プレス安全装置は小森安全機研究所、理研オプテック、東洋電機、井上電子、パナソニック電工SUNX、しのはらプレスサービスなどが製造販売しているが「板金加工業界からの受注が急増している」という。
これらの規格改正により、機械安全機器の需要拡大も見込まれる。
安全機器は安全マット、リレー、リミットスイッチ、ドアスイッチ、PLC、コントローラ、フットスイッチ、検知装置、インターロック装置、レーザスキャナー、光電スイッチ、ライトカーテン、非常停止押しボタンスイッチなど安全に関する多くの制御機器が使用されており、制御機器市場にも好影響を与えそう。