IDECは、工場の自動生産システムに最適な「MH1A形マルチハンドベースユニット」=写真=を開発、ロボットハンド分野に本格参入する。まず、三菱電機の産業用ロボット専用タイプと、三菱電機以外の同ロボット用のパラレルI/Oタイプを発売し、国内で年間500台の販売を目指す。
同社は、滝野事業所(兵庫県加東市)において、2000年に生産性と安全性の両立とともに、多品種変量生産に最適な「千手観音モデル」ロボット制御セル生産システムを導入。「第1回ものづくり日本大賞優秀賞」を受賞するなど高い評価を得ており、スイッチやリレーなど高品質の制御機器を累計5200万台以上生産してきた。
同事業所のロボット制御セル生産システムは、第1世代の小型垂直多関節ロボット用金属ハンド(稼働期間11年)、第2世代の樹脂ハンド(同5年)が稼働してきた。
今回、長年蓄積した生産技術と経験を活かし、通信機能と電磁弁、センサ入力16点を搭載し、ハンド(チャック)を4個搭載できるオールインワンタイプの第3世代のロボットハンド「MH1A形マルチハンドベースユニット」を開発・発売開始した。
従来、各生産工程で必要なロボットハンドは、一品一様のオリジナル設計が必要で、マルチタイプのハンドを製作するには、生産技術ノウハウの蓄積と多くのハンド設計工数がかかっていた。
同社が開発したマルチハンドベースユニットは、オールインワンのベースユニットを標準化しており、ユーザーは市販ハンドを購入し、爪の形状設計を行うだけで、4個のハンドを搭載したマルチハンドが簡単に製作でき、簡単にセットアップ/操作が行える。
これにより、ハンド設計工数の削減とケーブルの引き回しの簡略化、ベースユニットの一部樹脂化による軽量化、さらに生産工程の立ち上げの短縮化が図れ、投資費用効率は約4倍になる。
通信機能により、各種ロボットと直接接続が可能。ダブルソレノイド4個とセンサ入力16点を搭載。ハンドは4個搭載が可能で、汎用小型垂直多関節ロボットに対応する。組み立て能力は、基本タイプの8本指の場合3人力、2個同時把持タイプの16本指の場合は世界初の6人力となる。
一部樹脂化による軽量化で小型ロボットでも使用が可能で、ハンドアダプタは3機種のハンドに対応。また、シリアル通信により省配線を実現し、セットアップ、操作が簡単である。
三菱電機の産業用ロボットは「RV―2SQ/2SD、RV―3・6シリーズ」に直接接続が可能。
オープン価格(参考価格40万円)で、販売は同社のグループ会社であるアイデックコントロールズが担当する。
なお、新製品の研究開発の成果の一部は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」の研究成果による。