(1)FA・PAを統合サポートするPROFIBUS
工場の中では、さまざまな機器、機械が稼働している。これらの機器、機械を単独で動作させるのではなく、ネットワークで接続して有機的に結合させ、自由にデータ、アラーなどの情報をやり取りしたいと考えるのは当然である。PROFIBUS(プロフィバス)は現在市場で普及しているオープンなフィールドバスの中でも、FA分野、PA分野の機器を両方とも同時にサポートするバスとして知られている。(図1)
PROFIBUS
DPはFA用の機器を接続するフィールドバスである。FAの現場で使うインバータ、サーボ、リモートIO、エンコーダ、遮断機、ロボット、NC機械、重量計、温調計、分析計、ポンプ、油圧機器などさまざまな機器、機械が接続できる。PROFIBUS
DPラインには最大126台のPROFIBUS機器を接続でき、最高スピード12Mbpsで通信できる。12Mbpsで通信をした場合、30台程度の機器をつなぐと大体2から5msec程度で1周期の通信が終了する。つまり、高速の通信が求められるアプリケーションにPROFIBUS
DPは適合している。
PROFIBUS
PAはIEC61158―2に準拠するため、通信速度は31.25kbpsと抑えられているが、2線式伝送(バス給電)、本質安全防爆というPAに求められる仕様をカバーする。一般にプロセス産業で使用される温度、圧力、流量、レベルなどの伝送器やバルブがPROFIBUS
PAでつながる。
工場の中で稼働しているFA用の機器とPA用の機器・機械をまとめて接続して、トータルな現場ネットワークを構築することに、PROFIBUSは適した通信となっている。
(2)工場通信の幹線ラインとなるPROFINET
PROFINET(プロフィネット)は産業用Ethernetである。Ethernetの広い帯域を利用して、PROFINETは工場内のすべての通信要求に1本のバスで汎用的に対応するよう設計されている。すべての通信要求とは
・モーションコントロールの同期制御までをカバーするリアルタイム通信
・安全システム用通信
・汎用IT通信(TCP/IP通信)
・現在のフィールドバスとシームレスな通信を行う統合通信である。
リアルタイム通信に関して言うと、工場内の制御アプリケーションはさまざまであり、それぞれ制御アプリケーションにより求められるリアルタイム性が異なっている。PROFINETは、汎用IT通信をサポートした上で、Non‐Realtime,Realtime(周期通信:10msec程度),IsochronousRealtime(周期通信:1msec以下)の3つのパフォーマンスレベルを持つ。(図2)
PROFINETはTCP/IP通信とリアルタイム通信を共存させることができるので、今まで汎用と制御用に分かれていたEthernetケーブルを1本にまとめることができる。
PROFINETは制御ネットワーク機能に加えて、工場で稼働する機器の稼働管理、エネルギー管理用のネットワークとしての機能も備えている。