6月21日付けでオムロンの代表取締役社長に就任にした山田義仁社長は7日、2020年度を最終年度とする新長期戦略「Value
Generation2020」(VG2020)と事業戦略、さらに「変革」への決意について会見を行い、早期に売上高1兆円を達成するとともに、「もう一度オムロンのムーブメントを起こす」という強い変革への決意を語った。
「VG2020」については、同社の売上高が00年度から10年度までの10年間に僅か4%の成長に留まっていることから、成長力を復活させ早期に売上高1兆円以上、営業利益率15%以上の達成を掲げた。
事業戦略の実行については「GLOBE
Stage&EARTH
Stage(グローブ・ステージ&アース・ステージ)」の2つの視点を挙げた。
GLOBE
Stageは、11年度から13年度までの3年間で基盤づくりを行いグローバルでの収益・成長構造づくりを目指す。特に、市場が拡大する新興国を中心とした経済圏に向け、FA関連製品や消費材などのニーズに対応し、ものづくりを推進するためにIA(インダストリアルオートメーション)の活性化を図り、売上高7500億円、営業利益1000億円を目指す。EARTH
Stageは、13年度から20年度にわたり、新たな価値創出による成長を目指し最適化新規事業の創出を図る。さらに、GLOBE
Stageでの成長を加速させるとともに、地球規模で環境関連などのニーズに対応していく。
特に環境関連事業については、08年から環境推進部を設置し環境関連事業の種まきを行ってきたが、今後はそれらの事業を成長させ、開花させることを加速する。同社の省エネ関連事業では、太陽光発電用のパワーコンディショナや電力監視分野などがある。
電力監視では、他社とのアライアンスを含め、家庭向けではNTT、生産現場分野はオムロン主体で推進していく。
また、基本戦略としてIA事業の最強化、新興国市場での成長、最適化新規事業の創出を掲げている。
IA事業の最強化では、IAB(インダストリアルオートメーション・ビジネス)、EMC(エレクトロニックメカニカルコンポーネンツ)のさらなる強化に向けてオートメーション事業に最注力し、20年度に現在の約2倍となる売上高7000億円を目指す。
新興国市場については、中国に最注力するとともにインド、南米での販売を拡大させ20年度に現在の2・5倍の同4000億円を目指す。特に南米では、IAを中心にヘルスケア分野や車載分野にも注力する。
新規事業の創出では、環境事業のほか、ヘルスケア分野、社会インフラ関連に注力し、20年度に現在の7・8倍の同1000億円を目指す。特に安心・安全、健康、環境などのソーシャルニーズを捉え事業の拡大を図る。売上高1兆円達成への投資は、成長に伴う戦略投資としてGLOBE
Stageで1000億円規模を想定し、M&Aも視野に入れている。M&Aは、FA事業を強化するカテゴリーと、新興国開拓のための販売チャネルを開拓、SE強化などを狙う。
また、人材の育成では、戦略の実行性を高めるためグローバル規模で優秀な人材を登用し、長期的視野で育成を行う。
「変革」への決意では、若々しい企業、チャレンジする企業、イノベーション企業、グローバルで成長を実現する企業を目指すとし、同社創業からの理念である「社会の公器」を受け継いでいくことも強調した。
山田社長は「今年度からIAB、EMCなど主要カンパニー長が交代し、執行役員25人のうち、10人が50歳以下という若返りと世代交代が図られた。3年前から作田久男前社長、立石義雄名誉会長などが中心となって『若手層を形成し経営陣を固める』という意図のもと実現した。私は当社の主流でない分野の出身だが、まっさらな気持ちで変革に取り組み、社員と会社を元気づけていきたい。売上高1兆円の達成に向け、社員全員のベクトルを目標達成に合わせるとともに、人材の育成と企業風土の改革に取り組み、もう一度オムロンとしてのムーブメントを創っていきたい」と抱負を語った。