パナソニックは、基本性能と機能性を大幅にアップし、超高速ネットワーク「Realtime
Express(RTEX)」に対応したACサーボモータ・アンプ「MINAS
A5Nシリーズ」=写真=を7月1日から発売した。標準価格は、50Wタイプのアンプとモータセットで18万2070円から。
A5Nの基本性能では、速度応答周波数が業界最高の2300Hz(同社従来製品比2・3倍)、最大パルス周波数は従来比10倍の400Mbps、分解能は20bit分解能エンコーダの採用で、従来比8倍の104万8576pulse/rという大幅な基本性能の向上を図った。
最近では生産設備における省配線化、指令の高分解能化、上位装置でのパラメータ管理などを図るためにサーボのネットワーク化が急速に進展しているが、既存のネットワークの性能やコストなどに課題があり、同社が強みとする半導体製造装置や電子部品実装機分野で使用される小型サーボへの適用は困難であった。
これらの課題を解決するために同社が独自開発したRTEXは、Ethernet技術をベースにした通信速度100Mbps全2重の超高速ネットワーク。通信周期は従来比6分の1の最小0・083msでリアルタイム性に富む。
多様なニーズに応えるため、位置・速度・トルクの全制御モード対応、正確に位置を取り込む高精度位置ラッチ機能を備え、国際規格対応のセーフティI/F付きもラインアップ。
さらに、最大32軸(通信周期0・5ms)に対応し、軸数の多い半導体製造装置分野へも対応できる。ノード間ケーブル長は最大100メートル、高精度な軸間同期性、動作指令以外にパラメータ設定や各種モニタなどが可能、対応機器の開発が容易で自由度の向上が図れる。
また、通信ケーブルは安価な市販のLANケーブルが使用でき、大幅なコストダウンが図れる。そのほか、高い耐ノイズ性(IEC61000―4―4適合)を持つ。同社は、2004年にRTEXに対応するサーボ「MINAS
A4N」を発売。性能向上とコストダウンの両立が図れるネットワーク・サーボとして、国内をはじめ中国・台湾・韓国などアジア地域を中心に好評を得ており、10年度の販売台数は06年度の約10倍と急速に伸びている。同社ではサーボについて、新製品のA5Nを含め11年度は前年度比20%増となる100万台の販売を見込んでいる。
同社はこれらの需要増に対応するため、昨年中国での生産体制を増強し、月産10万台体制を確立した。11年度は前年度比120%となる100万台、12年度は前年度比140%の販売を目標に、サーボでグローバルナンバーワンを目指す。