ロータリーエンコーダーは、検出方式で大きく光学式と磁気式に分かれ、市場では約8割が光学式、磁気式が2割となっている。光学式はノイズなどに強く、磁気式は油・水など耐環境性に強いという特徴を持っている。
さらに位置検出方法で、絶対値のアブソリュート式と相対値のインクリメンタル式がある。
インクリメンタル式と、アブソリュート式それぞれに特徴があることから用途別に使い分けがされている。
絶対位置を直接検出できるアブソリュートの機能を求める用途が徐々に増えているが、コスト的にもアブソリュートはデータ量が多くなることもあり高くなる傾向がある。これに対してインクリメンタル式は、パルス数をカウントして相対位置を算出するもので、速度制御や高速制御用途に適している。
最近のロータリーエンコーダーは、小型・薄型化、高分解能化、安全対策機能などが進んでいる。
高分解能化では、分解能の設定をユーザー側で自由にできる機種もあり、パソコンとつないで1刻みで設定が可能で、使用用途に応じた制御が出来る。
小型化では外形サイズがφ18ミリ製品が発売されて、小型化に拍車がかかっている。
機械安全や防爆対応など、安全用途を狙った機種も増えている。機械安全では、IEC61508のSIL3に準拠した高い安全性を持つロータリーエンコーダーは、パイプを切断する鋸の回転運動検出などマシン安全操作のアプリケーションに対応している。防爆タイプのロータリーエンコーダーは、爆発危険領域でもロータリーエンコーダーの使用が増えつつあることに対応している。
ロータリーエンコーダーのコスト低減と、信頼性向上のために部品点数を減らす取り組みが進んでいる。
ロータリーエンコーダーの心臓部ともいうべき半導体部分をカスタムICからASICにすることで半導体の共通化を図って、自己診断機能の内蔵といったインテリジェント化と、トータルコストダウンと長期安定供給を実現しようという動きも見られており、将来的にはワンチップエンコーダーなどの開発も志向されている。
ロータリーエンコーダーの市場は、メーカーの寡占化が進む一方で、用途の専用化で特色を出す取り組みが著しい。コスト低減を狙いに中国など海外生産も増えているが、高機能品や特注品などの生産は依然国内が主流となっている。
ロータリーエンコーダーも市場と生産のグローバル化が加速している製品のひとつとなっており、コスト・品質・納期を重視しながらの中長期的な戦略が重要といえる。