今年5月の欧州閣僚理事会で採択された改正RoHS指令が、7月1日付けで官報公布された。現行RoHS指令で対象外であった工業用・産業用監視及び制御機器が強制適用対象にされた。2017年には開始。また、15年には含有禁止物質も6物質から10物質に増える見込みである。監視・制御装置業界にとって、情報の提供と周知徹底が必要である。
欧州では有害物質の電気・電子機器への使用を制限するため、06年7月1日からRoHS指令が施行された。
鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDEの6物質が有害物質に指定された。このときには、医療機器・対外診断用医療機器(IVD)、監視及び制御機器、「その他の電気電子機器」は対象から除外されていた。
その後、新たにRoHS指令の改正作業が行われ、医療、計測、制御、分析機器の取り扱い、新たな有害物質について検討してきたが、今回、改正RoHS指令が官報公布され、発効したが、対象はAC1000V/DC1500V以下の定格電圧を持つ全ての電気・電子機器に及んでおり、監視・制御機器も適用に含まれた。
官報によると、強制適用開始は、産業用を含む監視及び制御機器が14年、工業用・産業用監視及び制御機器が17年から。
さらに、有害物質対象も見直され、4物質が追加される見通しである。現行の6物質の他に、発泡ポリエスチレンなどの難燃剤であるHBCDD(臭素系化学物質)、塩ビ可塑剤のDEHP(フタル酸エステル類)、可塑剤のBBP(同)、可塑剤のDBP(同)の4物質が優先追加として検討されている。
なお、欧州では化学物質規制としてREACH規制が強化されており、日本メーカーも配線資材などの成形品が大きな影響を受けている。
監視・制御機器だけでなく、電線、成形品も含め、関連業界団体やメーカーは今後、RoHS指令、REACH規制動向からますます目が離せなくなると同時に、経費負担の増加が懸念される。