自動車車体のプレス加工の場合、均一かつ強力な圧力を加える必要があるが、油圧に比べ、サーボモータを使った電動プレスは、同期したツイン制御によって上下から静かにプレスすることが可能になる。自動車の車体は、燃費向上と材料費削減のため軽量化に取り組んでいる。材質の薄型化はこの一環であるが、電動プレスはこの点からも置き換えが進んでいる。
同様に射出成型機でも電動化への置き換えが見られ、「省エネ」をキーワードにニーズが広がり、より使いやすい部品や機械・設備を生み出している。
機器の小型化への対応という点では、リニアサーボモータの動向も注目されている。回転型サーボモータとボールねじとの組み合わせに比べ、推力が大きく、短ストローク移動で加減速の繰り返しなど強みを発揮できる。特に、小型で速い動きが求められている機械などに最適である。
「オールインワン・サーボモータ」として、ドライバ、エンコーダ、モーションコントローラ、シーケンサ、ネットワークまでを1台に収納した製品は、配線作業が不要で、省スペース化にも繋がり、トータルコストダウンにも貢献できる。
搬送機械、繊維機械などでは、1台のマシンに使用するモータ数が多く、特にサーボアンプの小型化や各軸のゲインチューニング工数の短縮が求められている。このため、回路基板をワンボード化するなど、高密度実装と最適放熱設計での超小型サーボアンプも登場している。
機械・装置と、サーボドライブを繋ぐインタフェイスも重要性を増してきている。機械・装置のコントローラとサーボドライブ間ではアナログ信号やパルス信号が標準的に使用されているが、近年のサーボドライバーの高性能化・高機能化で、機械・装置のコントローラで制御していた機能もサーボドライバーで行うことが可能になりつつある。
これによって、従来のアナログ信号やパルス信号による指令では、精度や性能の向上が難しいとして、各種の新たな通信方式が開発され、採用されつつある。
伝送速度が最大で100Mbpsと高速であることから、各種データも同時に送受信が可能で、機械・装置のコントローラ制御だけでなく、ネットワークとして生産ライン全体に適用しようとしている。
さらに、モーションのセーフティ化や防爆対応品の開発も進んでいる。セーフティでは、EN954
Safety
Stop―0を標準装備したサーボモータも発売されているが、可変速ドライブシステムの機能安全規格であるIEC61800―5―2への対応品も増加している。
防爆ではATEXの新防爆基準に対応し、小型・軽量でコンパクト化したACサーボモータが標準で発売されている。そのほか、厳しい環境下でも使用できるよう保護構造IP65などを標準採用したタイプやIP67対応品も増えつつある。
近年のサーボモータの開発ポイントとして、より高速で高精度を追求する一方、ステッピングモータやインバータなどとも用途によって使い分けできるような機能を盛り込む動きも強まっている。
同時に、中国など新興国市場を意識した機能を絞ったローコストタイプや、操作の更なる簡易化などが取り組まれている。
円高など為替リスクを避け、より消費地に近い現地生産を強める動きも加速することが予想され、市場が拡大が続く中で、取り巻く環境も急速に変化することが予想される。