オータックス(横浜市港北区新羽町1215、TEL045―543―5621、富田周敬社長)は、マレーシア工場の生産体制を強化して、中国一極集中のリスクを分散するとともに、新たに中国・無錫の日系ねじメーカーの買収や、操作用スイッチのバリエーション強化の一環として照光式押しボタンスイッチの市場投入も検討するなど活発な動きを強めている。
昨年10月に就任した富田社長は、「オータックスをDMMS(ディベロップメント・メカニカル・マニュファクチャリング・サービス)メーカーとして、新しい会社形態を目指していく」との方針を掲げ、矢継ぎ早に新施策を打ち出している。マレーシア工場の拡張は、中国の人件費上昇対策や顧客への即納体制を維持していくためには中国一極集中のリスクを避けて、チャイナプラス1にしておく必要があるとの方針で行ったもので、今年5月からDIPスイッチ生産の一部を中国から移管した。社員40人で6月が月産100万個、7月が200万個となっており、最終的には300万個まで持っていく。同社は韓国オータックスでもDIPスイッチの生産をしているが、「台湾には月産1200万個のメーカーもあり、これに負けないようにして3拠点合わせてDIPスイッチで世界最大のメーカーにしていきたい」(富田社長)。
一方、日系ねじメーカーの買収は、同社が端子台用などで月に600万~700万個のねじを購入していることもあり決めたもの。買収したねじメーカーのねじは、振動などでも緩まないという特許を持っており、FA用途の機械向けに振動でねじが緩むのを防止できる。「これでねじも含め社内ですべて一貫生産できる端子台メーカーとなる。世界ナンバー1の端子台メーカーを目指していく」(富田社長)。また、スイッチでは照光式押しボタンスイッチの販売に向けて市場リサーチを行っている。DIP、電源、トグルなどでは豊富な品ぞろえを誇るが、照光式スイッチは初めて。国内の販売代理店網が整備されていることや、国内のスイッチメーカーの再編も進みつつあることから検討を加えているもの。
富田社長は「当社はメカニカル部品の総合メーカーとして、金型、成型、めっき技術などでも高いレベルを持っており、こうした技術も融合しながら取り組みを強めたい」と抱負を語っている。