IDECは、地球環境に優しくCO₂削減を追求した工場用LED照明の実証実験の場としてLED照明化を推進している、滝野事業所(兵庫県加東市、敷地面積1万8332平方メートル、延べ床面積1万1448平方メートル)に、工場のLED化を検討しているユーザーの見学を受け入れることになった。
同社は2008年3月に、フォトニクス・オプトエレクトロニクス、高度制御技術など、同社のテクノロジーを結集させ、世界初の全館LED照明による「IDEC
SALES
OFFICE」を完成させた。以後、省エネ・CO₂削減を図ることを目的に、ビルや商業施設、オフィスなど様々な分野にLED照明を提案・提供してきた。
滝野事業所は、最先端生産設備「ロボット制御セル生産システム」を導入し、同社のコントロールユニットやリレーなどを生産する最新鋭の工場。オリジナルLED照明と調光制御を取り入れたインテリジェント照明システムを導入しており、10年12月から工場の様々なシーンでの最適LED照明の実証実験や効果検証をスタートさせ、人に優しい最適工場用LED照明の提案を行っている。
同社のLED照明の特徴は、様々な発光色(色温度)と高演色性を実現。高い信頼性とともに、より均質な製品提供などが挙げられる。現在、同事業所は全照明器具1481台のうち、18%に当たる265台をLED照明に変更。09年では、蛍光灯に比べLED照明で50%、LED照明を採用した調光システムで60%から74%の電力使用量削減を実現している。
具体的なLED照明の概要は次の通り。
本館1階は、リレーや端子台など金属部品プレスと樹脂部品の成形工程。同社は部品製作工程での照明を重要と捉えており、加工中の工作機の確認や加工直後の一次検査、工程段取り段階などでLED照明を採用。既存光源と比較し問題なく、さらに明るいことで作業性が向上している。
プレス工程では工作機を取り囲むように配置。成形工程では通路に沿って整形機内が確認できるよう、列で蛍光灯と同ピッチでLED照明を導入。また、高天井用LED照明を金型や材料を一時保管する平置きスペースに設置。照度ムラがなくフラットな照明を実現。これらにより、40W蛍光灯比40%、水銀灯で54%の電力量削減が図れた。
新館2階は、ロボット制御セル生産システムによる組み立てフロアで、押ボタンスイッチやリレーの自動組み立てラインがある。作業員はほとんどおらず、これまで、照明を100%点灯させていたが、人感センサの採用により、作業員がいる場所を高照度点灯、作業員がいない場所を低照度点灯させ、無駄の低減を図った。
さらに、照度センサにより外光に応じて高照度点灯時の明るさを自動調光したことで、62%から77%の省エネ率を達成している。
同館2階の事務所フロアは、蛍光灯からLED照明に変えても環境が変わらないよう、LED照明の温白色・白色がそれぞれ調光可能。手動調光コントローラーを導入している。また、同フロアは従来の蛍光灯とLED照明の明るさと電力の違いが比較できるよう、どちらも設置されている。省エネ率は45%を達成。
共用部分の廊下は、人感センサを設置、人が通った時のみ点灯する。また、トイレ、救護室、更衣室なども場所の特性に合わせた色温度に調整しており、省エネ率は96%を達成。そのほか、1階エントランス・廊下、救護室、トイレ、更衣室、コンピュータ室などもそれぞれLED照明を設置している。同社では随時、ユーザーの事業所見学を実施する方針で、LED照明器具・システムの積極的な拡販を行っていく。