携帯電話やDVD・光学部品など電子部品工場や自動車工場などは、休日の振替稼働や夜間シフトの継続、独自のサマータイム制導入を図っている。また、例年6~9月に実施していたクールビズを、前倒しで5月の連休明け頃からスタート、10月まで延長を行うところが多い。
造船メーカーでも、夜間や休日勤務を検討している。船体ブロックを組み立てる工程のうち、鋼板と鋼板を自動溶接機で繋ぎ合わせる工程に最も電力が必要なことから、平日の昼間に鋼材の一部を溶接する仮付けまでを済ませ、本格的な溶接作業は休日や夜間に回すという。
製鉄メーカーでは、鋼材圧延などの設備定期修理を夏場での集中実施で検討しているほか、アルミ製造工場では、製造工程で大量の電力が必要なうえ、一瞬でも停電が起こると品質に悪影響がでることから、自家発電機十数台を用意している。
化学工場では、夜間電力に関して、従来は自家発電よりも安い電力会社の電気を利用し、自家発電による余剰電力は売電していた。しかし、その売電を止め、自家発電を24時間運転させて自社で使用するようにしている。化学メーカーでは首都圏の社員2000人を在宅勤務可能にしたところもある。
タイヤメーカーでは、自動車各社の減産で国内の新車用タイヤの需要は落ち込んでいるものの、海外向け需要は好調が続いているため、休日に国内工場を24時間フル操業させ、在庫を積み増ししている。
医薬品メーカーでは、夏に必要な製品を5月に前倒して生産、化学物質を集めて1カ所で低温保管している。
大手コンビニエンス・ストアでは、電力消費の無駄を把握するセンサの導入や、効果的な節電対策となるLED照明の導入を加速させている。
大手量販店では、営業時間を1時間早めるなどのサマータイム営業を実施している。
飲料メーカーでは、自動販売機の冷却機能を5~6時間ずつ輪番で停止して節電を行っている。全国清涼飲料工業会加盟会社は、東京電力管内の約87万台の自動販売機について、今夏は照明の消灯を続ける方針を決めている。
大手銀行では支店の業務を順番に休む店舗休業の検討や、店舗外のATMも停止を検討している。
今後の電力政策とは別に、こうした節電への取り組みは、関連機器の需要増加と環境負荷の低減という一石二鳥の効果が期待できるだけに、継続的な展開が重要だ。