東日本大震災での福島原発事故を契機に、節電対策関連市場への関心が急速に高まっている。直接節電・省エネにつながる関連機器を筆頭に、エネルギーの消費の使用状況を確認できる機器、さらには電力の停電・瞬停などに備えた機器など裾野の広い需要を見せている。地球温暖化防止など環境負荷低減を狙いに展開してきた省エネへの取り組みが、今後新たな段階へステップアップしようとしており、市場拡大への期待が高まっている。
東日本大震災から4カ月が経過し、復興・復旧への取り組みが日夜続けられているが、産業界では被災した工場が徐々に稼働率を高めており、回復の足取りは着実に高まっている。
一方、震災による福島原子力発電所事故を契機に、原発の稼働停止や点検作業などで、東京電力をはじめ各電力会社の発電能力が落ちており、節電への取り組みが国を挙げて展開されている。
電力需要が増加する夏場を迎え、電力の需給バランスは綱渡り的な状況が続いており、生活や産業活動への影響が懸念されている。
政府の電力需給緊急対策本部では、夏期の電力需給対策を取りまとめ、需要面で「一律15%削減」という需要抑制目標を掲げ、大口需要家・小口需要家・家庭の部門ごとに対策を講じることを通達している。
特に、契約電力500kW以上の大口需要家は、電気事業法第27条に基づき、今夏の電力需要が増加する見込みの期間・時間帯で、電力使用制限(昨夏の同期間における使用最大電力から15%削減)を実施することになった。
発電所のトラブルが続いた関西地区についても、政府は「予期せぬ発電所の停止で、今夏の電力需給が相当厳しい状況になった」とし、関西電力管内において、昨夏のピーク比で10%以上の節電を要請しており、工場や事業所などにおいては、効果的な節電対策が緊急の課題となっている。
節電・省エネ機能を持つ制御機器・システムとしては、工場設備や装置のエネルギーの「見える化」を推進し、節電対策や省エネ対策を支援する各種の電力量センサやコントローラ、電力の使用状況やCO₂の削減量などが一目で分かるモニターやプログラマブル表示器、また照明器具・システムでは、蛍光灯などに比べ電力使用量を大幅に減らせるLED照明などの需要が拡大している。
また、インターネットやFOMA網を利用し、多拠点でも簡単にデマンド監視を実現するシステムや、工場や事業拠点の電力消費ピークの低減対策を支援し、電力消費の省エネ化を推進する「電力ピーク低減ソリューション」、さらに建物内の全パソコンの使用状況を個別に監視し、PCの消費電力を制御するPC節電制御システムなど、多種多様な機器・システムが開発・発売されている。
注目されている電力ピーク低減ソリューションは、オムロン、新日鉄ソリューションズ、日本オラクルの3社が協業し、電力の需要抑制対策を支援しようとしている。日本オラクルの電力・生産情報可視化アプリケーションと、オムロンの電力センサを結合させ、製造業の生産・設備管理に豊富な実績を持つ新日鉄ソリューションズが連携し、工場や事業拠点の電力消費ピークの低減対策と、電力消費効率の向上を支援する。
具体的には、全社及び各拠点の電力消費量の把握と電力ピークの分析を行い、生産情報との対比によりピーク時の対処計画を策定。これにより、生産活動への影響を最小化しつつ、電力ピークの低減を図ることができる。
一方、ビルにおける節電・省エネでは、PC節電制御システムなどが注目されている。同システムは、企業が入居するビルの中央監視システムで、ビル内の全パソコンの使用状況を個別に監視し、消費電力を制御する。パソコンの消費電力量を最大で約30%削減でき、ビル全体では約5%程度の省エネとなる。
従来、オフィスの省エネ対策は、空調と照明が主対象だったが、近年ではOA化の進展により、パソコンなどの消費電力がビル全体の15%程度を占めるようになっており、ビル全体の節電を推進する意味でもこのようなシステムが注目されている。
このシステムの最大の特徴は、ビルの中央監視システムとIT機器が持つ節電技術を組み合わせ、ビル内の全パソコンの使用状況を個別に監視し、節電制御できる点。個々のパソコン電源のオン・オフや、無操作のまま放置している時間、CPU負荷率などを把握し、放置時間やCPU負荷率に応じ、(1)モニター画面のオフ(2)CPUの休止(3)電源のシャットダウン、というように3段階のステップを踏み節電制御する。
さらに、オフィス利用者の省エネ意識の向上を目的に、個人のCO₂排出量を見える化することもできる。各個人がパソコン、空調、照明の利用で消費したCO₂排出量を算出し、パソコン画面に週・日単位で表示するほか、管理用サーバ画面では、部門別やフロア別のCO₂排出量の月・週・日・時間別の集計分析が行える。
中央監視システムが、真夏期に建物の電力需要が契約電力を超えることを想定し、デマンドレスポンス体制(電力需要の強制制御)を採った場合、パソコン放置時間の設定値を自動的に3分の1程度に短縮した節電制御を行い、一層の節電を図ることができる。
これらの節電・省エネ対策機器及びシステムを導入すれば、電力使用量は導入前の30%から50%以上削減することができ、効果的な節電・省エネ対策を講じることができる。電力使用量の削減は同時にCO2削減にも繋がるもので、各企業・事業所では今夏、こうした節電・省エネ対策機器の導入を積極的に促進する方針で、節電対策機器市場は大きな需要期を迎えている。
各業界各社のこの夏における主な節電対策例として次のようなものが挙げられる。注目されている電力ピーク低減ソリューションは、オムロン、新日鉄ソリューションズ、日本オラクルの3社が協業し、電力の需要抑制対策を支援しようとしている。日本オラクルの電力・生産情報可視化アプリケーションと、オムロンの電力センサを結合させ、製造業の生産・設備管理に豊富な実績を持つ新日鉄ソリューションズが連携し、工場や事業拠点の電力消費ピークの低減対策と、電力消費効率の向上を支援する。
具体的には、全社及び各拠点の電力消費量の把握と電力ピークの分析を行い、生産情報との対比によりピーク時の対処計画を策定。これにより、生産活動への影響を最小化しつつ、電力ピークの低減を図ることができる。
一方、ビルにおける節電・省エネでは、PC節電制御システムなどが注目されている。同システムは、企業が入居するビルの中央監視システムで、ビル内の全パソコンの使用状況を個別に監視し、消費電力を制御する。パソコンの消費電力量を最大で約30%削減でき、ビル全体では約5%程度の省エネとなる。
従来、オフィスの省エネ対策は、空調と照明が主対象だったが、近年ではOA化の進展により、パソコンなどの消費電力がビル全体の15%程度を占めるようになっており、ビル全体の節電を推進する意味でもこのようなシステムが注目されている。
このシステムの最大の特徴は、ビルの中央監視システムとIT機器が持つ節電技術を組み合わせ、ビル内の全パソコンの使用状況を個別に監視し、節電制御できる点。個々のパソコン電源のオン・オフや、無操作のまま放置している時間、CPU負荷率などを把握し、放置時間やCPU負荷率に応じ、(1)モニター画面のオフ(2)CPUの休止(3)電源のシャットダウン、というように3段階のステップを踏み節電制御する。
さらに、オフィス利用者の省エネ意識の向上を目的に、個人のCO₂排出量を見える化することもできる。各個人がパソコン、空調、照明の利用で消費したCO₂排出量を算出し、パソコン画面に週・日単位で表示するほか、管理用サーバ画面では、部門別やフロア別のCO₂排出量の月・週・日・時間別の集計分析が行える。
中央監視システムが、真夏期に建物の電力需要が契約電力を超えることを想定し、デマンドレスポンス体制(電力需要の強制制御)を採った場合、パソコン放置時間の設定値を自動的に3分の1程度に短縮した節電制御を行い、一層の節電を図ることができる。
これらの節電・省エネ対策機器及びシステムを導入すれば、電力使用量は導入前の30%から50%以上削減することができ、効果的な節電・省エネ対策を講じることができる。電力使用量の削減は同時にCO2削減にも繋がるもので、各企業・事業所では今夏、こうした節電・省エネ対策機器の導入を積極的に促進する方針で、節電対策機器市場は大きな需要期を迎えている。
各業界各社のこの夏における主な節電対策例として次のようなものが挙げられる。