節電対策が求められる中、低コストで電気の使用効率が高いコンテナ型データセンターの需要が高まっている。すでに欧米では多くの導入実績があり、国内でも今年3月の国土交通省の通達でコンテナ型データセンターの建築基準が緩和されたことで設置がしやすくなった。さらに、ローコスト、短期間で建築できることから、東日本大震災の被災地でも急速に需要が高まっている。ラックメーカーなどでは、今後の需要増に備えた積極的な事業展開を開始し始めた。
コンテナ型データセンターは、冷却設備、分電盤、ラックなどを備えたモジュラー型データセンターユニットである。低コストで電気の使用効率が高く、先行して販売されている欧米では外気冷却と合わせて導入され、急速に市場を拡大している。
モジュラー型のため、短期間で自由にユニットを増やせる特徴があり、外気冷却や水冷を組み合わせることで、消費電力を大きく抑えることができる。
これまで国内では建築基準法や各自治体の規制により、屋外での設置が困難であったが、今年3月に国土交通省から出された通達では、重大な障害発生時以外無人などの要件を満たせば、同センターを建築基準法上の建築物として取り扱わないことになった。
この規制緩和で確認申請を省くことが可能になり、建築する際の法的な障壁が取り払われ、今後国内でも市場が拡大することが予想される。
加えて、東日本大震災以降、バックアップサイト構築などでデータセンターの需要が拡大、スピーディなデータセンターの構築が緊急の課題となっており、コンテナ型データセンターの普及を後押しする形になってきた。
節電対策や規制緩和に伴う国内需要の高まりを受け、ここ1年足らずの間に、各メーカーから続々とデータセンターの新製品やサービスが発表・発売されるようになってきた。
標準的なコンテナ型データセンターは、コンテナにラックが数台から10台ほど設置でき、数百台のサーバが収容できる。外気冷却ユニットやラック型空調機により、高い電力利用効率が得られる。また、温湿度、火災、漏水検知など各種のセンサが設置され、PLCで自動制御される。
サイズは、コンテナの種類・大きさに合わせ、大型から中型、屋内設置できる小型まであり、最近では、8フィートコンテナのスモールモデルも登場している。小規模のものは、トレーラーなどで搬送でき、短工期でセンター構築が可能という特徴を持つ。
最近発売されたものは、機器の収容能力と駆動させる電源容量が大きいのが特徴である。1コンテナ内に高さ50U(1Uは約4・4センチ)のラックが10本設置でき、サーバやネットワーク機器が最大500台搭載できる。これらを稼働させるため最大290キロワットの電力供給が可能で、従来の一般的なデータセンターと比較して、最大で50%以上の電力使用効率改善を実現しているという。
こうした大型のコンテナ型データセンターを活用すれば、例えば地方自治体が遊休地に設置し、市民への幅広いITサービスの提供も可能となる。
コンテナ型データセンターは、障害発生時以外は人が立ち入らないという条件があり、基本的に各種の設定や、電力・カメラ・照明などの操作は外部からコントロールする。
将来的にはクラウドと統合し、コンテナ全体で1つのコンピュータとして動作するような方向に向かうとされており、今後、多くの可能性を秘めたコンテナ型データセンターに注目が集まっている。