4月、仙台市に住む友人が河北新報社刊の大震災画報を手土産に持ってきた。海上に浮揚する被災者の写真はさすがに掲載されていなかったが、それでも十分に被害の大きさ、悲惨さが読み取れ、頁に目を留めることさえできない自分に気付いた。が、人間は強いものである。
それから4カ月後の産業実態を、経済産業省が調査した。被災した生産拠点の8割が震災前の生産水準に戻り、下回っている拠点でも7割以上が年内に回復と答えている。設備投資にも意欲的である。亡くなられた従業員や家族を目の当たりにしたからであろう、経営者が復活にかけて描いた絵には、雇用に躊躇する姿が潜む。
政府は被災地を脇に置いて、20数兆円の復興費捻出に議論百出である。消費税や法人税、所得税増額の声を聞くにつけ、7年前の参議院総務委員会の議事録を思い出す。議員の一人が、税収72兆円のうち、全公務員の人件費が60兆円を占めると指摘している。各地から公務員が被災地に派遣されているが、被災を免れた県の住民からは行政サービスに対し不満が出ていない。
日本の労働生産性は09年でOECD33カ国中22位、先進国で最低である。製造業は6位である。新しい国創りが今から始まる。高齢社会の中で、社会、産業インフラの構築に効率化、省力化は避けて通れない。それにかかわる我々業界の社会的使命は大きい。業界に籍を置く幸せを噛みしめている。