国内制御機器需要は総じて6月から需要が落ち込み、7月には売り上げが前年を下回る企業が出ているものの、一方で2桁の伸びで推移している企業もあり、市場は地域、業種により濃淡の展開が続いている。
日本電気制御機器工業会の出荷統計によると、国内の推移は5月が287億7000万円で前年比108・8%、6月が366億8000万円で同114・0%と堅調であったが、7月に入り326億3000万円、同98・9%と前年を下回った。7月も品目で見ると、電源、接続機器、ソレノイドなどの制御用専用機器、PLC・プログラマブル表示器などのFAシステム機器は前年を上回って推移している。制御機器統計以外ではモータ、変圧器、電源切替開閉器などが需要増加である。
6月の生産金額動向を前年比で見ると、設備向けを主要顧客としているサーボモータは24・8%増、電力変換装置20・3%増、電磁開閉器18・5%増、電磁リレー2・3%増、PLC14・7%増、保護継電器14・3%増、高圧開閉器7・6%増、高圧遮断器34・6%増、低圧遮断器16・2%増など軒並み増加である。
これに対し、業務用や民生用機器を主とする製品は需要が落ち込んでいる。通信・電子装置用スイッチは27・8%減、コネクタ10・5%減、低圧開閉スイッチ8・0%減となっており、設備向けと対照的である。
需要先の業種品目の生産動向からも制御機器関連の需要の濃淡がうかがえる。
設備関連業種の6月生産では、半導体製造装置が前年比11・5%増、FPD製造装置28・7%増、食品加工機械67・1%増、自家発電が含まれる一般用発電機60・6%増、数値制御ボール盤10・9%増、専用機24・6%増、ターニングセンター含む数値制御旋盤65・9%増、機械プレス53・7%増、マシニングセンター50・9%増、プレイバックロボット36・5%増など大幅に増加している。他方、電子回路基板16・5%減、デジタル複写機が5・9%減など業務用や民生用関連は生産が落ち込んでいる。
こうした顧客の業種によって当然、制御機器メーカーの業績も変化してくる。
あるメーカーは「常用・非常用自家発電向けに電磁接触器の受注が20%以上増加している。休日返上で生産に対応している」。また、ある接続機器メーカーは「大震災の影響を心配したが、配電制御システムメーカー向けは2桁の伸びで推移している」。電源トランスメーカーは「特注品の電源トランスの受注が震災後に急増。人員を増加して対応している」。「フロートセンサー、センサーが震災需要で注文が増えており、年内はこの状況が続く」など忙しい。PLC、モータその他の設備関連向け制御機器メーカーは好調である。業民向けを主にするメーカーは6月以降、前年を下回って推移している。また、地域間の需要の変化も見受けられる。
東北・北関東地区の制御機器・駆動機器商社は急速に需要が回復し売り上げを伸ばしている。「大震災で先行き悲観していたが、主要顧客の生産が以前の状態に戻り、それに復旧需要がある」(山形、宮城、福島県の地元商社)という。首都圏や中部地区、北陸地区、中・四国地区では売り上げが落ちている。前年を下回っている商社も出てきている。関西、九州地区は売り上げ増加が見られない状況が続いている。
こうした地域や業種による明暗が制御機器メーカーの業績に反映しているが、この状況も下半期から改善し、復興需要と相まって上昇に転じるものと見られている。それだけに「一喜一憂する必要はない」とまで言い切るところもある。