配電制御システムの市場は今年後半から拡大基調に入り、来春から全国で本格的な景気回復を迎えるとの観測が強まっている。来年度以降、東北・関東で大震災復興需要が顕在化、また他の地域でも海岸沿いの企業が内陸移転を始めるためである。今後5年間は一種の列島改造関連の需要が期待できる。
配電制御システム業界は、景気変動が他産業に比べ2年程度遅れて現出する傾向にある。リーマンショック後の世界同時不況から景気回復へ他業界が2009年後半から入ったことにより、配電制御システム業界は今年後半から受注増加が予測されていた。この回復局面で、東日本大震災が3月11日に発生し、復旧需要がすでに東北・関東地区で出てきている。
阪神・淡路地震では発生後2年目から復興投資が急増している例から、来春以降は復興投資が本格化することが確実視されている。今回の大震災の被害額は16兆9000億円と見積もられており、復興投資は20兆円以上の規模になるといわれるだけに社会インフラ、企業活動インフラに関連する配電制御システム各社の期待は大きい。配電制御システムの需要は東北、関東地区だけでなく、全国規模で増加する見込みである。
自動車メーカーのスズキは浜松市の海岸沿いに本社、工場群があるが、内陸の磐田市の都田工業団地に500億円を投資し二輪技術センターの移設と二輪車エンジン組立工場を新設する。津波対策の一環である。
日本は地震活動期に入っており、津波対策として企業は海岸から内陸への移転や生産工場の分散化を行う機運が出てきている。また、太陽光発電、風力発電など再生可能エネルギーへの投資も活発化する見込み。
こうした、日本列島改造が来年から始まる。それだけに、配電制御システム業界は先行きが明るい。