企業の経営者、工場長、物流責任者は社会の要請であるトレーサビリティの重要性は理解しているが、「少ない予算で効率化を図りたい、従事者が新規設備に馴染めるか」の制約条件をどうクリアするかが悩みの種である。製造現場、物流現場を知り尽くしている自動認識システム大手の東研は、「少ない費用で大きな業務改善」を実現し、顧客の利益に寄与するトレーサビリティを提案している。その一環として、顧客の厳しい要求を満足させる新製品「モバイル型賞味期限OCRチェッカー」と「バーコード在庫管理システム」を発表した。コピー機のように誰でも簡単に扱えて作業効率が高まり、しかもコピー機並みかそれ以下の価格体系で購入会社に利益をもたらす。導入の際の製品及びシステム説明、メンテナンス体制も万全である。
食品の賞味期限や薬品の使用期限などの表示は大きな意味を持つ。
万一、間違いが起これば社会から追及され、企業存亡にかかわる損失が発生する。
そのため、企業は日付指示書を作成し、個装、内箱、外箱ごとに二重三重の表示ラベルチェックを行い、履歴台帳で記録を保管している。人的に行われる、この作業は大変な労力と神経を要する。
企業は賞味期限や使用期限のチェックの効率化へ自動化に取り組む方向にあるが、設備費用が何百万円もかかり、しかも生産ラインごとに設置するとなると投資に二の足を踏まざるを得なくなる。
■導入効果■
こうした状況下で、東研では大手食品工場からの要請で課題解決に取り組み、130万画素カラーカメラ搭載の2次元コードリーダーの技術を応用し賞味期限OCRチェッカーを開発、最適なトレーサビリティシステムを構築した。半年かけて試験した結果、簡易かつ安価なシステムで人によるポカミスを排除でき、作業の効率化と企業利益につながることが実証できたことから、発売することにした。
導入効果は(1)日付OCRによる賞味期限自動チェック(2)賞味期限の自動計算による段取り時のラベルセットミス防止(3)日付OCR画像を自動保存でき履歴台帳の管理作業を削減(4)正確でしかもリアルタイムな検査トレーサビリティの実現(5)モバイルシステム構成のため複数ラインで共有が可能など。
■機能■
・賞味期限自動計算=商品コード(JANコード)を読み込ませることにより、賞味期限を自動計算して大型液晶に表示するため、段取り換えなどでラベラー装置に賞味期限をセットするときなど、作業者による製造日からの換算ミスがなくなる。
・賞味期限チェック機能=商品コードを読み取り、商品ラベルの「賞味期限の印刷部」を撮影することにより、撮影画像から日付をOCR解読して賞味期限を自動判定する。
判定結果だけでなく、「実施時期」「商品情報」さらには判定時に録り込んだ日付画像が自動的に保存され、現場の台帳記録作業が不要となり、必要なトレーサビリティ情報が構築される。
この機能により、目視での「日付の読み違い」や「賞味期限の計算ミス」「台帳記入作業」「検査ラベルの切り抜き保存」「ダブルチェック」などミスの防止、作業効率の改善を実現できる。
■システム構成と価格体系■
システムは、日付OCR機能を装備の130万画素カラーカメラ搭載2次元コードリーダーTHIR―6000U―OCR、大型液晶タッチパネルコンピュータPatio700、無線アクセスポイントAP―5131、置き台充電器FHTUL781のハードウエア、賞味期限管理台帳ソフト、賞味期限チェッカーソフト、ユーザーズマニュアルで構成されている。初期導入についてもユーザーフォント登録、システムインストール、現地セットアップ、操作説明まで行われるので安心である。
OCRはバーコード、2次元コードに比べ誤読率が高く、認識率が低いという難点がある。また、包装材も透明、アルミ、色などさまざまである。この課題を克服したのが、専用に開発された2次元コードリーダーTHIR―6000U―OCRである。
特別な工夫が施され、誰が操作しても簡単に安定した文字認識を可能にしている。
まず、OCR専用アジャスタが取り付けられているため、誰でも同じ距離で同じ確度で読み取れる。もちろん、バーコード、2次元コードも読み取れる。また、アジャスタにはハーフミラーの窓があり、目で見てターゲットの間違いが防げる。専用照明の採用で、反射する素材でも確実にOCRが可能である。
こうした優れた機能にもかかわらず、価格は2次元コードリーダー、タッチパネルPCの構成で78万円、システム全体の構築を含めても180万円とかなり安価である。
同社では「賞味期限チェックで導入した機器を他の業務に活用することもでき、費用対効果は非常に大きい」という。