日本の製造業は川上から川中、川下までREACH規制の動向を注視しているが、欧州化学品庁(ECHA)は、このほど新しい高懸念化学物質(SVHC)候補として20物質をホームページで公開した。制御業界、配線資材業界も原材料使用で今後影響を受ける。
また、データ管理などの費用面でも負担が増えそうである。
REACH規則はEUにおける化学品の登録・評価・認可及び制限に関する規制で、2007年6月1日に発効された。既存のRoHS指令(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令)は加盟国が国内法を定めて国ごとに運用されているが、REACH規則はEU加盟国にそのまま適用される共通の法律であり、影響力が大きい。
日本の製造業は、EU現地法人に適用されるだけでなく、部品や素材などを国内で製造し、直接輸出していなくても搭載の完成品がEU域内へ輸出される場合にも規制を受ける。
REACH規則は、「物質」「混合品」「成形品」に含まれる物質が対象となるため、制御機器、駆動機器、配線資材なども規制対象となる。
そのため、制御機器、駆動機器、配線資材各社は規制対象物質の含有有無データを川下ユーザーから要求され、川上産業からデータを収集するなどREACH規則に振り回されてきた。しかも、そのデータ収集・管理コストは増加する一方であり、経費削減へJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)の統一情報伝達・管理シートを採用するなど対策を講じている。
今回、20物質が公開され、規制が強化されたことにより、制御機器、駆動機器、配線資材各社などは素材の見直しやデータ収集に再び取り組まざるを得なくなる。
REACH規則対象物質は、今後も増加するものと見られており、ますます対応と費用負担増加に苦慮することになる。
こうした制御機器、駆動機器、配線資材各社に対し、JAMPでは情報伝達シートの利用を呼び掛けている。
新規性物質のCAS番号のある18物質のうち、「アニリンとホルムアルデヒドの重合物(CAS番号25214―70―4)」と「フェノール(同140―66―9)」以外の物質は、情報伝達シートAIS(川上産業向け)、MSDSplus(川中・川下産業向け)に盛り込まれているという。