オムロンはリレー事業をさらに強化するため、同社の中国の地域統括会社オムロン中国が、中国・上海の大手パワーラッチングリレーメーカー「上海貝斯特電器制造」(楊政董事長兼総経理、BST)を買収することになり、8日譲渡契約を締結した。
今後ニーズが拡大すると予想されるスマートグリッド市場において、スマートメーターは、送電網とビル・住宅を結ぶインターフェースとして中心的な存在となることから、BSTのパワーラッチングリレーを拡販し、2015年にパワーラッチングリレーの売上高50億円を目指す。
現在、中国はスマートメーターの導入期で、同メーター向けのパワーラッチングリレーについても大きな成長が見込まれており、15年度までに数量ベースでグローバル市場の約65%、150~200億円規模への拡大が期待されている。
BSTは、パワーラッチングリレーにおいて中国市場の約30%とトップシェアを誇っており、業界リーダーのポジションを有している。特に多品種少量生産と、パーツのモジュール化による生産性向上により、競争優位を確保している。
オムロンでは、リレー事業をさらに強化するため、パワーラッチングリレーの新規成長市場である中国へ早期に市場参入し、競争優位を構築するためBST買収に至った。
BSTは94年の設立以来、パワーラッチングリレーの開発・製造・販売を行っており、10年3月期時点で従業員は250人、資本金3263万人民元、売上高は7928万人民元。
なお、一般のリレーはコイルの通電により、接点がオン/オフするが、ラッチングリレーは、駆動電圧が断たれた後も反転への入力があるまでセット状態、またはリセット状態を保持する機能を持つ。特に、スマートメーターの供給電力を直接入り/切りする負荷開閉ユニット向けに、パワーラッチングリレーが使用されている。