欧米では、倉庫業務の効率化へ両手が使える音声ピッキングシステムが普及しているそうだ。日本でも倉庫業務の効率化が進んでいるが、音声応答を利用したピッキングは方言や多様な表現の仕方があって音声交信に対する不安感を持っておりまだ使用されていない。そのような不安を拭いさる、新しい音声ピッキングシステムが登場した。難聴者や高齢者、外国人でも音声認識率97%以上と高く、そのうえ相互チェック機能を備えており、今後、音声ピッキングシステムに対する認識が変わりそうである。
このシステムは、アイニックス(東京都目黒区大橋1―6―2、TEL03―5728―7500、平本純也社長)のドイツ・トップ社製音声認識エンジンtopSPEECH―Lydiaを使用した音声ピッキングシステム「POT
Voice」である。システムはサーバと音声ターミナルシステムで構成されている。
音声ターミナルとヘッドフォンを装着した作業者は、システムのアナウンス指示に対して音声で返答しながら作業する。具体的には、システムが作業者に棚番号をアナウンスし、作業者は棚に貼付表示された2桁数字のチェック番号を発声、システムが正しい棚かどうかを自動確認する。次に、システムが作業者に出荷数量を指示し、作業者は棚から取った数量を発声する。システムは数量の適否を判断し超過や不足をアナウンスする。
歩きながら指示を受け、聞きながら出荷できるので、物流業務を改善する。会話は数字、開始、終了、OKなどの単語だけで交信するため認識率が高く、しかも音声の登録は不要で、誰でも使い慣れるのが早い。
このシステムでは、棚のバーコード表示が不要であるが、バーコード検品やロット番号の入力が必要な場合は作業者の指に装着できるリングスキャナまたはBluetooth通信のバーコードリーダで実現。出荷ラベルの発行も行える。
同社によると、これまでのペーパーピッキング、バーコードピッキングに比べ「両手と目が自由なので、重量物やケース品、梱包材など大きな物でも楽に出荷でき、物流効率が10%以上向上する。画面操作やキー操作がなく、作業者のストレスも最小化できる」という。