安全対策用センサは、安全重視の思想が国際的に広がる中で需要が拡大している。エリアセンサやマットスイッチ、ライトカーテン、接触式、非接触式など多様なセンサが使用用途に応じ使い分けされている。ライトカーテンでは、国際安全規格に対応した高機能のセーフティライトカーテンの採用が増えている。設計や取り付け・調整にかかる工数を大幅に削減し、ミューティング機能を搭載し、複雑なアプリケーションにも対応が可能である。そのほか、防犯意識の高まりから、各種の防犯用センサも伸長している。安全センサの応用製品で、外部ハウジングにテープスイッチを内蔵したセーフティエッジセンサは、エレベーター、車両、住宅ドア、高速シャッタードアといった自動ドアや、各種機械類の挟まれ防止、医療機器などの非常停止、無人車両などの衝突感知センサとして採用が増えている。
ロータリーエンコーダーは、回転角変位をデジタル量に変換するセンサで、工作機械、加工機械、ロボット、半導体製造装置、検査装置などのセットメーカーのほか、自動車関連、電気・電子、機械・精密の生産ライン向けも堅調に推移しており、車載関連や建設機械、防爆関連、介護用ロボットなど新規需要も拡大している。
圧力センサは、小型・軽量化、使い勝手の良さ、低価格化、耐環境性や温度特性の向上などの改良が進んでいる。ミストを含んだ空気、水、油など、流体や環境を選ばないハイエンド圧力センサなども登場し多分野で採用されている。また、新規市場では半導体抵抗素子や静電容量素子を用いた電子式圧力センサの需要が拡大している。
レベルセンサは、液面や粉体面のレベルが設定レベルになった時に信号を出力するセンサで、一般的にタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用される。最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、レベルセンサが重要な働きをしている。
さらに、自動車などのオイル系統の管理に採用されているほか、外食産業用にも採用され、新規市場への浸透が進んでいる。
ユニークなのは、レベルセンサに温度センサを内蔵して一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減を実現したものも注目されている。
需要が高まっている流量センサは、高温液体を使用する金型温調器の流量管理、冷却水を使用するダイカスト金型や、焼き入れ装置のコイル冷却水の流量管理、ビンの洗浄に使用される精製水の供給管理、純水や薬液を使用するウエハー洗浄液、基板洗浄液の供給管理などの分野で活躍している。
半導体や液晶の製造工程分野では、基板などますます大型化するガラス素材の表面コーティング斑(むら)を、確実に検査するニューロ視覚センサがある。
ロボット関連では、知能ロボット向けにレンジ(測域)センサの開発が進んでいる。レンジセンサは、周囲の障害物などの状況を把握するセンサで、知能ロボットには必要欠くべからざるセンサ。レーザ光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心とした平面地図のような測域情報を得ることができる。同センサは、長距離で高感度の検出が可能なので、最近では立体駐車場での車両のはみ出し検出や、トンネル前における車両の高さ検出など、様々な分野で用途が拡大している。
ロボットアームなどを中心に動き続ける運動体の角度や角速度が容易に検出できるジャイロセンサ内蔵のスイングセンサなどもある。
そのほか、FAセンサの堅調な市場として物流業界が挙げられる。物流業界はFA分野と非FA分野両方の領域を兼ね備えており、バーコードリーダーやRFIDなど、自動認識関連のFAセンサ需要が拡大している。省力・効率、品質管理など様々な目的で使用されているが、最近は製造履歴を管理するトレーサビリティや物流の合理化などにつながることから市場は着実に拡大している。
一方、非FA分野では、有料道路のETC(料金自動収受システム)や、鉄道などICカードを採り入れた自動改札システム、さらに各種防犯設備などで市場が拡大している。特に、各種の赤外線を使った人体検出センサは防犯効果が高く伸長が著しい。
MEMS技術を応用したセンサでは、フローセンサ、加速度センサ、さらに非接触温度センサなどが登場している。フローセンサの場合、外乱の影響が少なくなり、高速応答を実現している。また、高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で、照明環境に強く静止している人もセンシングする。
従来比7倍の高感度化でセンシングエリアも7倍に拡大。店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策へ活用できる。
最近では、製造ラインやエアコンなどの機器、さらに自動車などから発生する音や振動エネルギーの異常振動を察知し、不良品の検出や予知保全に応用するMEMSセンサシステムも開発されている。
センサ関連製品としては、従来、変位センサなど産業用センサとPLCを接続するためには、技術者が独自のプログラムを作成し、別売りの汎用通信ユニットを使用して通信を行う必要があったが、PLCメーカーと協業で、PLCのベースユニットに直接取り付けるだけで、測定・演算・判定が行えるセンサコントロールユニットを開発。PLCに負荷がかからず、手間が省け低コストで高速のサンプリングが可能となる画期的製品として注目されている。