計測自動制御学会(SICE、石川正俊会長)は理事会の下に、今年3月に発生した東日本大震災に学ぶための検討タスクフォースを新たに創設。今後2年間かけて計測、制御、システムの視点から総括し、未来への提言をまとめる。
SICEは今年創立50周年を迎えたが、その年にこのような大震災が発生したことを真摯に受け止め、学会として体系的な検討を加えていくことにした。
今回の大震災では、津波や原発事故などで内在していた技術的な問題点が顕然化し、今後のシステム設計に大きな課題を残した。
「コスト論、責任論などいろいろな意見があるが、残念ながら他の学会やマスメディアも含めて、この問題を体系的に取り組んでいるところがない」(石川会長)。
タスクフォースでは、「人間・自然と共生する社会システムの設計と実現」をテーマに、謙虚に現実を見つめ、設計条件や設計基準が確固たるものではないことを再認識し、様々な見地から安全・安心な社会構築に対し、SICEがカバーする分野において、いま為すべきことは何か、どのような技術が求められているのかを、広く探索しながら創造的にまとめようとしている。
1年目は課題の抽出と新学術領域の創成、新産業分野創出に向けや枠組みの設定を、2年目はこれに基づいた詳細なロードマップ作成を計画しており、2012年秋に中間報告、13年秋に最終報告をまとめる。メンバーは10人から20人で、主査には東京大学の原辰次教授が就任予定。
石川会長は「産学の団体であるSICEとして、視点の違う部分を強調しながら、拙速に結論を出さずにじっくりと腰を落ち着け、目先の『もの』を中心とした活動とは違う方法論の根本的な見直しを試みる」と語っている。