オムロンは、電気メッキの方法で形成する微細電鋳コンタクトを採用したコネクタの量産=写真=を開始した。プレス加工技術では実現できなかった端子の自由形状と超小型化、優れた特性を実現しており、新しい加工技術として注目される。
電鋳は、電気メッキの方法で製品となる厚さの金属層をマスター(母型)に成長させ、これをマスターから剥離して製品の形状を創る技術。微細な加工が可能で、サブミクロン(1万分の1ミリ)の精度でのパターン転写が可能になる。
プレスでは、曲げ加工の際のR(曲げ半径)は、板厚の2倍程度が限度であるが、電鋳技術では40μmの微小なR形状の形成が可能になる。
また、プレスでは型抜き時の抜き幅は一般的に板厚同等レベルが限界であるが、同社独自の微細形状形成技術により、板厚の約3分の1の薄い幅での形成も可能で、例えば板厚250μmに対し、プレス加工では不可能な80μmの形状幅とスリット幅のパターン形成ができる。
これによって、部品のさらなる小型化で、実装エリアの省面積化に大きく貢献する。
さらに、電鋳技術ではプロセスを調整することによって、コンタクト材料の物性をニーズに合わせて最適化することもでき、様々な各種合金を実現することも可能。
コネクタの端子部分は通常、プレス加工によって製作されているが、プレス材の板厚より成形部品の板幅を細くすることが困難であり、曲げRにも限界があった。
同社は微細加工技術と電鋳材料技術の高度化によってこれらの課題を解決し、微細コンタクトを採用したコネクタの量産化につなげた。