政府の長期エネルギー需給見通しで、太陽光発電の導入量を2020年までに2800万kWに拡大する目標が打ち出されたが、送配電系統の安定化と両立させる必要が指摘されている。再生可能エネルギーの大量導入を受け入れるには蓄電池などの最適制御を含む最先端の送配電ネットワークの構築が重要である。
次世代送配電ネットワーク研究会は技術課題として、余剰電力の発生、周波数調整力の不足、配電系統における電圧上昇をあげ、対策に蓄電池の設置、低負荷期における出力抑制、出力調整機能の増強、配電網の強化を求めている。
経済産業省は今年度3・4億円の予算を要求し、次世代送配電系統最適制御技術開発実証事業を行う。事業では周波数調整不足、電圧上昇の課題に取り組む。
周波数調整不足対策(余剰電力の低減)は、系統側の状況に応じて需要側を最適に制御するための「スマートインターフェース」の仕様の検討・開発・検証を行う。また、太陽光・電気自動車・ヒートポンプなど需要家内機器の電力使用の最適制御方式の開発と検証を実施する。
電圧上昇対策(配電系統における電圧の監視・制御)では、配電系統における適切な電圧の監視・制御を行う機器を開発、基幹系統~配電系統~家庭までの全体最適な需給運用、制御方式の開発、検証を行うほか、新たな配電系統の電圧制御方式の開発と検証も実施。
経済産業省では、このほか送配電関連として(1)太陽光発電出力予測技術開発実証事業(2)次世代型双方向通信出力制御実証事業(3)新エネルギー系統対策蓄電システム技術開発(4)分散型新エネルギー大量導入促進系統安定化対策事業(5)負荷平準化機器導入効果実証事業(6)イットリウム系超電導電力機器技術開発(7)高温超電導ケーブル実証プロジェクト(8)電力系統関連設備形成等調査の項目で予算を要求し、取り組む方針。これらの次世代送配電ネットワークの構築による経済波及効果は、次世代送配電ネットワーク研究会の試算によると、20年までの10年間で2・1兆円から42・5兆円へ拡大する。
配電制御システム各社は、受電から配電、分電、電気制御を事業エリアにしており、新規市場として取り込む余地が大きい。